研究課題/領域番号 |
15H04151
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 純哉 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (70312973)
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研究分担者 |
小島 真由美 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (80569799)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マルテンサイト変態 / デジタルホログラフィック顕微鏡 / バリアント選択 |
研究実績の概要 |
革新的な強度・延性バランスを有する新規構造用鋼の開発には,鋼中最高強度相であるマルテンサイト相の利用が不可欠となっている。しかし従来の高強度鋼では,マルテンサイト相自体の塑性変形能を利用するという発想はなく,材料本来の力学特性を十分に活用しているとは言い難い。次世代の構造用鋼の力学特性の飛躍的な向上には,マルテンサイト相の塑性変形能を最大限に活用した組織の創成が望まれ,そのためには,マルテンサイト相の塑性異方性という弱点を克服する高配向性マルテンサイトという新たな集合組織の実現が不可欠となる。 その様な背景のもと本研究では,マルテンサイト相の集合組織制御に不可欠となる,マルテンサイト変態におけるバリアント選択則およびその制御因子を明らかし,最終的にはマルテンサイト相を活用する材料制御の新たな指導原理の構築を目指している。 平成27年度は既存の共焦点レーザー顕微鏡に赤外線イメージ炉を導入することで、マルテンサイト変態の直接観察を行った。その結果、AFMと同等の精度でリアルタイムに表面起伏の計測が可能であることを明らかにし、今後高速度CCDカメラを用いた計測により、共焦点レーザー顕微鏡ではスキャン速度の限界から、十分な成長過程の観察が難しいことが判明し、新たにデジタルホログラフィック顕微鏡の設計を行うこととした。一方で、フェーズフィールドモデルによるマルテンサイト変態のシミュレーションでは、オーステナイト中の塑性変形を想定したプログラムを作成し、オーステナイト中に生じる塑性ひずみの分布に特異な形態があることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は当初予定していた共焦点レーザー顕微鏡では、スキャンスピードの限界から、マルテンサイト変態の直接観察の精度に限界があることが判明し、急遽レーザー顕微鏡に代わる新たな手法としてデジタルホログラフィック顕微鏡の開発に取り組む状況となった。一方で、フェーズフィールドモデルによるマルテンサイト変態のシミュレーションは概ね期待通りの結果を得ることに成功しており、この点に関しては概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度以降は平成27年度に設計したデジタルホログラフィック顕微鏡の作製をする。その精度検証のため、フェライトサイドプレートやベイナイトを用いた直接観察を行い、結果をAFMによる測定結果と比較する。更に平成29年度では、平成28年度までに開発したフェーズフィールドモデルを使った解析と比較検討することで,マルテンサイト相の集合組織制御に不可欠となる,マルテンサイト変態におけるバリアント選択則およびその制御因子を明らかにし,最終的にはマルテンサイト相を活用する材料制御の新たな指導原理の構築を目指す。
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