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2016 年度 実績報告書

毒性金属イオン除去プロセスを革新させる触媒プロセスの研究

研究課題

研究課題/領域番号 15H04179
研究機関九州大学

研究代表者

岸田 昌浩  九州大学, 工学研究院, 教授 (60243903)

研究分担者 松根 英樹  九州大学, 工学研究院, 助教 (10380586)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード触媒化学プロセス / 排水浄化 / 亜ヒ酸 / 担持白金触媒 / 接触酸化
研究実績の概要

1) 亜ヒ酸の酸化挙動と鉄(Ⅱ)イオンの酸化挙動比較
まず亜ヒ酸の酸化反応速度に関して詳細な測定と解析を行った.触媒にはジルコニア担持白金触媒を用いた.また酸素供給速度を変えても反応速度が変わらない供給条件で反応を行っているため,酸素濃度は過剰で,亜ヒ酸濃度のみに依存するとして反応速度解析を行った.その結果,反応速度は20℃~80℃で亜ヒ酸濃度に1次であることがわかり,反応速度の前指数因子(k0=1.05×10^3 L^0.5/mol^0.5)と活性化エネルギー(31.1 kJ/mol)を得た.同様に同じ触媒を用いて,鉄(Ⅱ)イオンの酸化反応速度を測定したところ,亜ヒ酸酸化と同様に鉄(Ⅱ)濃度に1次の反応であった.また温度を変えた実験から反応速度の前指数因子(k0=2.56×10^8 L^0.5/mol^0.5)と活性化エネルギー(55.5 kJ/mol)を得た.これら活性化エネルギーの比較から,亜ヒ酸は触媒上で活性化されておらず,白金触媒は溶存酸素の活性化に主に寄与していることが示唆された.しかし,触媒の機能が酸素の活性化のみでは,亜ヒ酸酸化の反応促進効果を説明することは難しいと考えられるため,さらなる検討が必要である.
2) 亜ヒ酸の化学吸着量測定
亜ヒ酸が触媒に強く吸着しているかどうかを調べるため,吸着後に触媒を水洗浄した後の亜ヒ酸吸着量を測定した.亜ヒ酸はジルコニア担体上に多く吸着したため,測定条件を種々変化させたが,白金表面への吸着量を定量することはできなかった.そこで亜ヒ酸があまり吸着しないシリカ担体を用いて白金表面への吸着量を測定したところ,化学吸着と呼べるような強い吸着はないことが示唆された.
以上より,白金触媒は酸素を活性化して,その活性酸素によって白金表面に物理吸着した亜ヒ酸が酸化するという反応機構であると考えられた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

化学吸着量測定が当初の予想よりも測定困難であることがわかり,一時的な計画の遅れが生じ,研究費の繰り越しも行ったが,最終的には予定通りに進めることができた.

今後の研究の推進方策

当初の計画では,亜ヒ酸酸化反応を流通式反応器でも行い,回分反応器の結果と比較することで,反応器選定に関する提言を行う予定であった.しかし,本触媒の性能が,当初に予想していたよりもはるかに優れており,反応器の選定が重要ではなくなってきた.そこで,毒性イオン除去の検討をさらに進めるために,毒性金属イオンとしてヒ素よりも処理が困難なセレンを取り上げて,ここまでに得られた成果をセレン酸還元プロセスに応用する検討を行う.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Oxidation of Arsenious Acid over Supported-platinum Catalysts in Aqueous Solution (2)2017

    • 著者名/発表者名
      岸田 昌浩, 趙 金仙, 松根 英樹, 竹中 壮
    • 学会等名
      化学工学会 第82年会

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公開日: 2018-12-17  

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