ゼオライト骨格へ元素を導入することで、その活性制御を試みている。今年度はSnの導入を行った。Sn は Si に比べイオン半径が大きく,さらに6配位で安定となるため,骨格内への導入が困難である。そこで本研究では、Si -O- Sn 間の結合を有した前駆体を利用することで、MFIゼオライトへの一様な元素骨格内導入ならびにその導入量の制御を目的とした。 Si-O-Sn結合を有するアモルファス前駆体調製のため、メカノケミカル反応を利用した。Sn錯体とSiO2前駆体を窒化ケイ素製ボールとともに窒化ケイ素製容器へ入れ、遊星ボールミルによりメカノケミカル反応を行った。得られた前駆体は、その処理時間の経過に従い、SiO2固有の構造の存在減少が確認され、24時間の反応によってアモルファスの前駆体が得られたことが確認された。得られたアモルファス Si -O- Sn 前駆体を用いて、HCl/Si比を変化させて水熱合成を行うことで、目的とするSn含有MFIゼオライト調製を行った。HCl量の変化により、得られる粒径が変化することが確認された。また、比表面積、外表面積の変kなも確認された。HClの添加量増大に伴い、MFIゼオライト中のSn含有量の増大が確認され、最大で 3.1 wt%まで増大させることに成功した。得られたSn-MFIゼオライトのFT-IR測定で評価したところ、骨格内に導入されていることが確認された。以上より、メカノケミカル反応により得られた非晶質前駆体をりよすることで、MFIゼオライトへ一様に元素を含有することまたその含有量を制御可能であることが確認された。
|