研究実績の概要 |
MSE骨格構造を持つMCM-68ゼオライトが持つ酸点の量を調整することで,DTO反応において高いP/E比率でプロピレンが選択的に生成することを明らかにした。水熱合成したMCM-68ゼオライトに含まれるAlの量を制御すべく,種々の条件で酸処理を行い,酸点密度が異なる種々のMCM-68 ゼオライトを得た。これらを触媒としてDTO反応を行った。Alの量を制御することで,低級オレフィン(プロピレン,ブチレン異性体)の選択率が向上することやエチレンの選択率が低下することがわかった。特に,Alの量を調節することで,細孔の外部に存在する活性点が減少することを1,3,5-トリイソプロピルベンゼンとクメンのクラッキングにより確認した。また,エチレン生成に寄与すると考えられる強いブレンステッド酸点や,芳香族炭化水素・コーク生成に関わると考えられる強いルイス酸点が酸処理により優先的に除去されることを,ピリジンをプローブ分子としたFT-IR測定から明らかにした。また,2,4,6-Trimethylpyridine(コリジン)とCOをプローブ分子としたFT-IR測定によりMCM-68ゼオライトの酸点の分布を明らかにした。30 ºCでコリジンの吸着後,COを吸着することで細孔内部の酸点の量を計算し,次いで130 ºCでコリジンの吸着後,COを吸着することで10員環チャンネル存在する酸点の量を求めた。さらに,MCM-68ゼオライトにリン酸塩系の化学種を担持することでプロピレンの選択性,および生成物中のP/E比が向上することを明らかにした。
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