研究課題/領域番号 |
15H04186
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
薩摩 篤 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00215758)
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研究分担者 |
大山 順也 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50611597)
沢辺 恭一 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80235473)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 触媒・資源化学プロセス / 環境触媒 / 自動車三元触媒 / スピネル酸化物 / バイメタル / Galvanic deposition |
研究実績の概要 |
希少資源の資源枯渇による自動車触媒のリスクを避けるためには脱貴金属化が必須である。しかしながら、学術的な研究が極めて遅れている。本申請研究では、(1)申請者らが見いだしたFe-Ni/CeO2触媒の構造と触媒作用の解明、(2)Galvanic deposition法により調製したバイメタル触媒の構造活性相関を明らかにすることで、非貴金属系自動車触媒を提案し、資源リスク回避のための学術の発展に貢献する。本年度は、主にFe-Ni/CeO2触媒について検討し、活性種がスピネル型構造を持つNiFe2O4であることを見いだし、(2) Galvanic Deposition法によって調製したCore-shell型構造を有するRu-Co触媒が高い自動車三元触媒活性を示すことを見いだした。字数の都合から(1)について以下に詳細を説明する。Fe-Ni/CeO2のNi K-edge EXAFSにおいてR=0.31 nm付近にNi-O-Fe(Feは四面体サイトに収容)由来のピークが観察され, スピネル型構造を有するFe-Ni複合酸化物の存在が明らかになった。様々な組成のFe-Ni酸化物触媒を調製し, 活性-構造相関性の検討を行ったところ、NiFe2O4に代表されるスピネル型酸化物相とα-Fe2O3相の回折線が観察された。参照強度比法により触媒に含まれるスピネル型酸化物結晶相の定量分析を行い, 各触媒上でのNOx還元反応速度と比較した。表面積あたりのNOx還元反応速度は, Fe/Ni=2/1の時に最大の値を示した。このときXRDから求めたスピネル型構造のFe-Ni複合酸化物量も最大であり, スピネル型酸化物の組成はFe/Ni=2/1, すなわちNiFe2O4にて活性が最大となった。以上より, スピネル型構造をNiFe2O4相がNOx還元反応における活性種であると結論付けた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H27年度の目標として、(1) 課題1(H27~H28年度)Fe-Ni/CeO2触媒の構造・触媒作用と反応機構の解明、(2) 課題3(H27~H28年度)貴金属-非貴金属(Ag-Ni, Co-Ru)バイメタル触媒の作用機構解明を掲げた。(1)についてはFe-Ni/CeO2触媒の活性種がNiFe2O4であることを明らかにした(投稿中)。また(2)についてはAg-M (M: Ni, Co, Cu, Fe)バイメタル触媒上でのCO酸化において、core-shell構造を形成しやすいAg-Niが高活性を与えることを見いだした(Catal. Today掲載)。さらにCo-Ru上での自動車三元触媒反応においても同様にcore-shell構造の形成が重要で有ることを見いだした(投稿中)。触媒活性を与える構造を確定できたため、来年度も引き続きこれらの系を検討し、さらに反応機構の解明に繋げる。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度検討事項の(1) 課題1(H27~H28年度)Fe-Ni/CeO2触媒の構造・触媒作用と反応機構の解明、(2) 課題3(H27~H28年度)貴金属-非貴金属(Ag-Ni, Co-Ru)バイメタル触媒の作用機構解明については、H27年度に構造因子を検討した。この成果をベースにH28年度は表面での反応機構の解明に繋げる。さらにH28年度は(3) 課題2(H28~H29年度)更に高性能なCeO2系金属酸化物触媒の提案、(4) 課題4(H28~H29年度):三元触媒反応に有効な非貴金属バイメタル触媒の提案を予定している。(3)については担体の効果およびNi-Fe以外の組み合わせの検討を予定している。(4)についてもH28年度は担体に着目した検討を予定している。
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