研究課題
シェールガス革命により早期実現が求められているMTB(メタンto ブタジエン)プロセスでのキーテクノロジーである「高圧下でのメタンのドライリフォーミング反応(CH4+CO2→CO+2H2)」に用いるCo-Al-Mg-O固溶体還元触媒の開発に取り組み、以下に示す研究成果を得た。A. Co担持量、Al3+のドープ量の最適化による触媒耐久性の向上Co担持量、Al3+ドープ量の異なるCo-Al-Mg-O固溶体還元触媒を多数調製し、1MPa、850℃でのメタンドライリフォーミング条件(CH4/CO2=1/1)で触媒活性の経時変化を調べた。さらに反応終了時までの炭素析出量を昇温反応法により定量し、炭素析出耐性を比較した。その結果、Coの担持量を1wt%とした場合、Al3+の添加なしではCoの還元度が20%以下であり、すぐに失活してしまうことが分かった。これに対し、0.1wt%のAl3+を添加するとCoの還元度が50%まで向上し、平衡値に近いメタン転化率が得られた。しかしながら、さらなるAl3+の添加は炭素析出量の増加を引き起こすことも分かった。B. Al3+の存在状態・位置の特定と、その作用機構の学理解明Coを1wt%としAl3+の添加量を変えた触媒を調製し、昇温還元プロファイルを測定した。その結果、Al3+の添加量の増加に伴い、Co2+の還元が促進されることが分かった。一方、XRD測定ではAlを含む化合物に由来するピークは得られず、Alの存在状態に関する知見は得られなかった。また、H2の化学吸着量測定から、Coの分散度を見積もり、O2の吸収量測定からCoの還元度を見積もったところ、Alの添加量を変えてもCoの粒子径は変化しないことが示唆された。そのため、Al3+添加量の増加による炭素析出量の増加は、よく知られているCo粒子径の増大とか関連付けられないことが分かった。
2: おおむね順調に進展している
計画書に記載した通りの実験を行い、予定通り研究が進捗したため、順調に進展していると判断した。
研究計画書に記載した通り、以下の事項について検討する。B. Al3+の存在状態・位置の特定と、その作用機構の学理を解明する。C. 塩基性酸化物の種類と添加量の最適化により、炭素析出耐性をさらに向上させる。D. 強塩基性酸化物の存在状態・位置の特定とその作用機構の学理解明に取り組む。
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