研究課題
本研究では、シェールガス革命により早期実現が求められているMTB(メタンtoブタジエン)プロセスでのキーテクノロジーである「高圧下でのメタンのドライリフォーミング反応(CH4+CO2→CO+2H2)」に用いる貴金属フリー触媒の開発に取り組み、当該年度では以下に示す研究成果を得た。B.Al3+の存在状態・位置を特定し、Co2+の還元促進、Co微粒子形成の学理を解明する。STEM-EDX観察の結果、Alが0.1wt%の場合には、MgOの内部までAl3+が固溶していることが分かった。一方、0.5wt%以上では、Alの一部がMgO表面に偏析し、昨年度のAl-NMRの結果と合わせるとMgAl2O4として存在することが分かった。この表面のMaAl2O3が触媒表面の塩基性を低下させることで、炭素析出が顕著になったことが示唆された。C.強塩基性酸化物をMgOに固溶し、これを水素処理することで、Co微粒子上にCO2の吸着サイトを構築し、炭素析出耐性の向上をはかる。塩基性酸化物のSrOを最適量(2wt%)添加することで、炭素析出を劇的に低下できた。一方、SrOを多量に添加すると、触媒活性が大きく低下することが分かった。D.強塩基性酸化物の存在状態・位置を特定し、炭素析出抑制の学理を解明する。2wt%のSrOを添加すると、MgO表面近傍に存在するMgAl2O4に由来する酸点を覆う。このことによって、触媒の塩基性が向上し、炭素析出が抑制されることが明らかとなった。一方、SrOの添加量が多い場合には、AlとSrが複合酸化物を形成し、Coの還元が抑制され、触媒活性が大きく低下することも分かった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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