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2015 年度 実績報告書

スクアレンを出発材料とする生合成経路の再構築とその実験室内進化

研究課題

研究課題/領域番号 15H04189
研究機関千葉大学

研究代表者

梅野 太輔  千葉大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00400812)

研究分担者 河合 繁子  千葉大学, 大学院工学研究科, 助教 (40638920)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードスクアレン / ホペン / スクアラン / トリテルペン / 進化分子工学 / ライブラリ / スクリーニング / セレクション
研究実績の概要

我々は,いままで長らく不可視であった細胞内のスクアレン合成酵素の活性を色スクリーニングする手法を開発した.スクアレンの蓄積過程を可視化できるということは,スクアレン合成酵素という創薬ターゲットの阻害剤探索などに利用できるのみならず,蓄積したスクアレンの消費活性を可視化できる可能性も示している。
本研究では,スクアレン合成酵素を転化してさまざまな有価物質を合成する酵素活性を標的とした,(1)ホペンサイクラーゼの細胞機能の改良、(2)オキシドスクアレン合成経路の再構築,(3)スクアレン水素化機能の探索と改良,などを試みることを目的としている。また,これらの酵素の基質特異性を拡張し,(4)非天然サイズのスクアレンを出発物質とする新規な骨格構造の組織的な創出も目的とする。
[項目1] その初年度にあたって我々は,ブドウ球菌由来のCrtNという酵素とさまざまな種に由来するスクアレン合成酵素を大腸菌に共発現する系を作製した。再現性よくスクアレン蓄積量を可視化できる系が完成した。
[項目2] スクアレン合成酵素のサイズ変異体を取得し,C20を基質とするC40型のスクアレン合成経路の確立にも成功しその消費活性スクリーニング系も確立できた。
[項目3] ホペンサイクラーゼをスクアレン合成酵素と共発現した。野生型のホペンは大腸菌内の活性が非常に弱く,スクアレンのごく僅かをホペンに転化するのみであり,大量のスクアレンが未転化のまま残されてしまった。スクリーニング系(項目1)も完成し,伸び白の高い標的も定まった。来年の進化工学が愉しみな状況である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

[項目1] ブドウ球菌由来のCrtNという酵素とさまざまな種に由来するスクアレン合成酵素を大腸菌に共発現する系を作製した。CrtNはデヒドロスクアレンを効率よくカロテノイド色素し,大腸菌のコロニーの色を強い黄色にする。しかしスクアレンの転化速度は遅く,わずかに色づく程度である。CrtNのライブラリの中から,より効率的にスクアレンを色素化できる変異体の取得を目指したが,不成功に終わった。そこでコンストラクトの発現条件および培養条件をスクリーニングし,再現性よくスクアレン蓄積量を可視化できる系が完成した。この項目は完了したものと判断する。

[項目2] スクアレン合成酵素のサイズ変異体を取得し,C20を基質とするC40型のスクアレン合成経路の確立にも成功しその消費活性スクリーニング系も確立できた。のこる目標は,実際にこの新規活性を探索するだけである。これは来年度以降に実施する予定であったため,順調といってよい。

[項目3] ホペンサイクラーゼをスクアレン合成酵素と共発現した。野生型のホペンは大腸菌内の活性が非常に弱く,スクアレンのごく僅かをホペンに転化するのみであり,これもまた予定通りである。

今後の研究の推進方策

現状,申請書のとおりに研究は進展しており,とくに大きな変更なく研究を推進してゆきたい。平成29年度は,とくに以下3点に注力してゆきたい:
[項目3-1] ホペンサイクラーゼの活性向上した変異体を得る
[項目3-2] オキシドスクアレンの合成活性が,ついに大腸菌内で働くようになった。この細胞活性を高める進化工学を行う。
[項目4] スクアレンの水素添加機能をもつ遺伝子の探索を行う。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)

  • [雑誌論文] Production of squalene by squalene syntheses and their truncated mutants in Escherichia coli.2016

    • 著者名/発表者名
      Katabami A, Lin L, Iwasaki M, Furubayashi M, Saito K, Umeno D
    • 雑誌名

      J. Biosci. Bioengin.

      巻: 119 ページ: 165-171

    • DOI

      10.1016/j.jbiosc.2014.07.013. Epub 2014 Oct 2.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Evolutionary design of choline-inducible and choline-repressive T7-based induction systems.2016

    • 著者名/発表者名
      Ike K, Arasawa Y, Koizumi S, Mihashi S, Kawai-Noma S, Kyoichi S, Umeno D
    • 雑誌名

      ACS Synthetic Biology

      巻: 4 ページ: 1352-1360

    • DOI

      10.1021/acssynbio.5b00107

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 香料の合成生物学2016

    • 著者名/発表者名
      古林真衣子,梅野太輔
    • 雑誌名

      香料

      巻: 267 ページ: 21-29

  • [雑誌論文] テルペノイド酵素の進化デザイン2016

    • 著者名/発表者名
      岩嵜美希,梅野太輔
    • 雑誌名

      化学と生物

      巻: 9 ページ: -

  • [学会発表] テルペノイド生合成経路の進化分子工学2016

    • 著者名/発表者名
      梅野太輔
    • 学会等名
      農芸化学会2016大会シンポジウム
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2016-03-28
    • 招待講演
  • [学会発表] 進化工学による非天然カロチノイド創製2016

    • 著者名/発表者名
      梅野太輔
    • 学会等名
      日本学術振興会産学協力研究委員会「地球環境・食糧・資源のための植物バイオ第160委員会」
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2016-03-04
    • 招待講演
  • [学会発表] 人工代謝経路「進化」による非天然カロテノイドのシリーズ生産2015

    • 著者名/発表者名
      梅野太輔
    • 学会等名
      第67回 日本生物工学会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      2015-10-26
    • 招待講演
  • [学会発表] 遺伝子制御ネットワークの進化デザイン2015

    • 著者名/発表者名
      梅野太輔
    • 学会等名
      藍藻ゲノム研究会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2015-07-25
    • 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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