研究課題/領域番号 |
15H04198
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
姫野 武洋 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (60376506)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 液体ロケット / 推進薬管理 / スロッシング / 極低温 / 表面張力 / 落下塔 |
研究実績の概要 |
低重力環境で回転に伴う外乱加速度を受ける環境における、容器内液面挙動観察実験を実施した。具体的には、東京大学の落下塔(東京都文京区, 落下時間:1秒)での予備実験に続き、㈱植松電気の微小重力実験塔(北海道赤平市,落下時間3秒)をそれぞれ使用し、低重力環境(10-3G以下)を獲得したうえで、落下筐体(カプセル)には、鉛直軸(ロール軸)に対する回転ステージを搭載し、鉛直方向加速度がほぼ消失した環境で、回転に伴う遠心方向加速度を与えることで、ボンド数条件をパラメータとした実験も行った。実験では、単純円筒容器の場合に加え、金属網(メッシュスクリーン)による捕獲デバイスを追加艤装した場合についても実験を行った。その結果、供試液体の表面張力係数とメッシュ幅により与えられるボンド数により概ね整理できることや、開口比の影響を受けることなど、定量的な知見を得ることができた。 他方、次年度以降に実施する、極低温スロッシング実験の実施へ向けた準備も進めた。実験で使用される高荷重電動加振機は、密閉容器(ポリカーボネート製・直径100 mm程度の円筒形)を格納した観測窓付きの真空断熱槽と連結され、従来は正弦波形の水平方向加振のみを印加できる構成となっていた。これに対し本研究では、電動アクチュエータの任意波形出力を可能とする制御装置を増設することで、実機ロケットの増速飛行中に推力変動を受ける状況にも対応した加速度環境を模擬できるように改良を行い、任意波形加振の実験データを取得できた。 数値解析手法の構築においても、複雑形状を有する物体内部の解析を可能とするべく、多領域接続に対応した圧力ポアソン方程式解法の新規導入を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
落下塔実験では、試験装置の工夫により、低重力環境で回転に伴う容器内部の液体挙動を観察することに成功した。地上での極低温スロッシング実験では、加振装置の調整に苦労したものの、任意波形加振が可能な実験装置を構築することができた。数値解析手法の高度化も順調に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、任意波形加振による極低温スロッシング実験を発展させる。具体的には、実験手順の工夫や自動化による再現性の向上に取り組んだうえで、容器内にスロッシング減衰デバイスを艤装した場合についても実験を行い、再使用ロケットの飛行に対応した大規模な外乱加速度を伴う場合についてもデータ取得を試みる。 数値計算については、連携研究者との協力の下、並列計算にも適するよう改良を進め、計算手法の提案だけでなく、計算速度の向上も視野に入れた改良を継続する。
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