極低温スロッシング実験では、真空断熱槽(クライオスタット)の内部に設置した小型透明の密閉容器に極低温液体と常温気体を封入し、スロッシングと温度場が連成する流れ場を実現した。真空断熱槽を電動加振機に連結し、水平方向に任意波形の非定常加速度を与える試験装置を完成させた。液面変形が線型応答を呈する場合から、砕波を生じる強非線形応答を呈する場合まで、容器内部での熱交換と相変化に起因する圧力変動を計測した。初期条件として、液温成層厚を様々に変更した実験により、スロッシングに伴う液温成層の破壊が、密閉容器内の圧力降下の直接原因であることを明らかにした。 落下塔実験については、着地衝撃に耐える昇降ステージを搭載した落下筐体を用いた実験(平成27年度に実施)に対応した数値解析を実施。スクリーン(金網)を用いた液体捕獲デバイスを含め、低重力環境で界面張力が卓越する場合の液面挙動を精度よく再現でることを示すとともに、今後の課題を明確化できた。 数値解析に関しては、上述の極低温スロッシング実験、変動加速度を受ける円管内気液二相流を含め、安定に数値的模擬が可能となる手法の高度化を実装した。多領域を接続した計算を高速に実施できるように改良を行った。また、固気液界面における適切な熱伝達モデルと相変化モデルを提案した。 本計算手法は、国内の液体ロケット開発に関係する機関ならびにメーカーに技術移転され、次期基幹ロケットの運用検討に役立てられるようになった。
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