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2015 年度 実績報告書

電磁力エアロブレーキングの減速開始高度を制御する新技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15H04200
研究機関山口大学

研究代表者

葛山 浩  山口大学, 理工学研究科, 准教授 (80435809)

研究分担者 松井 信  静岡大学, 工学部, 准教授 (90547100)
野田 淳二  山口大学, 理工学研究科, 准教授 (00398992)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード電磁力エアロブレーキング / 希薄気流 / レーザートムソン散乱法 / 抗力測定 / 粒子計算
研究実績の概要

本研究の目的は、高々度希薄領域での電磁力ブレーキングで発生すると予想される臨界高度の物理機構をアーク風洞実験(電磁力測定、トムソン散乱法による電子諸量測定)および粒子計算を用いて解明し、その適用高度を向上させる技術を提案することである。
1.アーク風洞実験について
希薄プラズマ気流生成用の1kW級のアルゴン作動アークジェットの製作と試運転を行った。また、0.5Tのネオジウム磁石を搭載可能な直径22mmのセラミック製の鈍頭試験模型を製作した。さらに、試験模型の全抗力(空力抵抗と電磁力の合力)および磁石にかかる電磁力の二種類を計測可能な振子式抗力測定装置を製作した。アークジェットおよび抗力測定装置は、問題なく動作したが、真空チャンバーに転倒の危険性があることが発覚したため、本実験はまだ行えていない。現在、チャンバーを改修中であり、次年度の6月から実験を行う予定である。トムソン散乱法については、計測用のYAGレーザー、ICCDカメラ、分光用の光学部品の購入を行った。現在、購入した光学部品を組んで、散乱光取得用のトリプル分光器を自作中である。以上より、本実験のための準備はほぼ終わり、次年度の6月からデータを取得する予定である。
2.粒子計算について
既存の粒子計算手法では、本研究が対象とする連続流と希薄流の境界領域において、電子に関する諸量の誤差が大きく、電子物理量の定量的評価が難しい。そこで、電子を流体的に取り扱い、さらに電子流体と重粒子(粒子的に取り扱う)間のエネルギー緩和を正確に取り扱えるモデルを開発した。このモデルは、我々が初めて提案したモデルであり、本研究が対象とする希薄流領域(クヌーセン数0.01~0.1程度)において、電子温度の高精度計算が初めて可能になった。この成果は、3月の衝撃波シンポジウムで発表した。以上により、アーク気流実験を検証可能な粒子コードの開発はほぼ完了した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実験は、希薄プラズマ気流中での電磁力計測に必要な準備が完了した。本実験については、本年度(平成27年度)後半に真空チャンバーに転倒の危険があることがわかり、現在改修中のため、まだ行えていないが、改修が終わり次第(次年度(平成28年度)6月を予定)、すぐにデータを取得できる。また、トムソン散乱法による電子諸量計測は、必要な機器の購入を問題なく終え、散乱光取得用の分光器の自作も順調に行えており、真空チャンバー改修が終わり次第、この計測も開始できる段階にある。粒子計算は、電子諸量を精度よく扱える計算モデルの開発に成功し、アーク気流実験を検証できるコードの開発がほぼ終わり、予想以上に進んでいる。以上より、実験には真空チャンバーのトラブルによる若干の遅れがあるものの、計算が予想以上に進んでいることもあり、全体としては概ね順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

アーク気流実験において、真空チャンバーの背圧を制御し、プルーム境界(電気的絶縁境界)を動かして、高々度希薄領域での高度変化を模擬する。試験模型にかかる抗力(全抗力および電磁力)とトムソン散乱法による電子諸量の計測を行い、絶縁境界の移動が電磁力発生に与える影響を調べ、我々が数値解析(連続流モデルを使用)により予想した臨界高度の存在機構の仮説を実証する。また、開発した粒子計算コードを用いて、実験結果を検証する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Numerical Investigation of Several Alkali Metal Addition Methods for the Forced Elevation of the Starting Altitude in the Electrodynamic Aerobraking Declearation2015

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Katsurayama
    • 雑誌名

      AIAA Paper (Proc. of 46th AIAA Plasmadynamics and Lasers Conf.)

      巻: 2015 ページ: 3368

    • DOI

      10.2514/6.2015-3368

  • [学会発表] アーク希薄気流中での電磁力ブレーキングの粒子計算2016

    • 著者名/発表者名
      宮崎卓真,葛山浩,加藤泰生
    • 学会等名
      平成27年度衝撃波シンポジウム
    • 発表場所
      熊本大学(熊本県熊本市)
    • 年月日
      2016-03-07 – 2016-03-09
  • [学会発表] 電磁力による衝撃波層拡大効果を用いた新しいエ ンタルピー決定法の数値解析的検討2016

    • 著者名/発表者名
      葛山浩,酒井武治
    • 学会等名
      平成27年度衝撃波シンポジウム
    • 発表場所
      熊本大学(熊本県熊本市)
    • 年月日
      2016-03-07 – 2016-03-09
  • [学会発表] アーク加熱式風洞の希薄効果の解明2016

    • 著者名/発表者名
      宮崎卓真,葛山浩,加藤泰生
    • 学会等名
      平成27年度宇宙輸送シンポジウム
    • 発表場所
      JAXA宇宙科学研究所(神奈川県相模原市)
    • 年月日
      2016-01-14 – 2016-01-15
  • [学会発表] アーク希薄風洞中でのプルーム膨張の粒子計算2015

    • 著者名/発表者名
      宮崎卓真,葛山浩,加藤泰生
    • 学会等名
      日本航空宇宙学会西部支部講演会(2015)
    • 発表場所
      広島大学(広島県東広島市)
    • 年月日
      2015-12-04
  • [学会発表] Numerical Investigation of Several Alkali Metal Addition Methods for the Forced Elevation of the Starting Altitude in the Electrodynamic Aerobraking Declearation2015

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Katsurayama
    • 学会等名
      46th AIAA Plasmadynamics and Lasers Conf.
    • 発表場所
      アメリカ合衆国ダラス
    • 年月日
      2015-06-22 – 2015-06-26
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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