研究課題/領域番号 |
15H04217
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
田原 裕介 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (10264805)
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研究分担者 |
高見 朋希 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (50586683)
一ノ瀬 康雄 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (00550021)
金子 杏実 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (80777318)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 実海域航行性能 / 信頼性最適化理論 / CFD解析 / FSI解析 / 船型SBD |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,従来研究で構築したSBDプロトタイプの個々の要素技術を高度化すると同時に,新たに流体構造連成解析(FSI 解析)手法を導入してシステム統合を行い,実測実海域航行性能のフィードバックも用いた信頼性ベース多目的ロバスト船型最適化設計に適用できるレベルへ高めることによって高度SBD 手法を再構築し,我国の造船工学における世界的優位性を維持・発展させる基礎技術を確立することである.本年度は第2年度であり,Phase 2「単一目的関数最適化問題・SBDシステム評価フェーズ」を実施した. 具体的には,前年度開発したイントラSBDプロトタイプを拡張し,所期の目的であるESD設計を対象としたFSI計算の実施とそれに基づく信頼性評価関数の定義,また既述したAEモデルの拡張によるイントラ/クラウドSBDプロトタイプの完成を目指し,最終的には全ての本年度タスクを完了することができた. 一方,FSI計算に用いる実海域情報についてはフィンランドの舶用CAD/運航支援システム供給会社であるNAPA社のシステム(Onboard NAPA - Class NK NAPA Green)を用いた実測データの利用が可能となり,本研究への協力を承諾した造船企業(サノヤス造船)からの同データおよび当該船型データの提供を以って,本研究の成果を学術的および実用性の両方の観点でも極めて充実したものとできる目途がついた.更に研究代表者・分担者が属する研究機関(海技研)では地球全球レベルでの海象情報を保有しており,そのデータも相互活用することによって更なる研究成果の展開が図れるものと考えている.そのような規模の実測データを用い,本研究と同様な目的を有する研究は国際的にもこれまでに発表されていない.本研究においては実際にそれらのデータを用いた最適化試計算を開始しており,次年度にかけてその成果を積極的に発表したいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の所期の目標タスクはほぼ全て完了し,その成果は複数の国内・国際の学会で発表する事ができ,加えて関連した研究成果は国際学術論文誌にも掲載する目途がついた.システムの各要素技術の高度は現在も継続中であるが,次年度(最終年度)に予定されている多目的最適化問題への応用の準備も完了し,総合的にはほぼ所期の計画通りに進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は第3年度でありPhase 3「多目的関数最適化問題・SBDシステム最終評価フェーズ」を完了する.そのタスクは研究計画段階で定義された通りであり,特に変更を要することはない.次年度では,本課題で最終目標としている実海域航行性能の信頼性確率最適化理論とFSI解析に基づく多目的最適化問題解法の試行を行う.目的関数には,例えば平水中抵抗値と波浪中抵抗増加などの実海域運動性能に関する関数や,より商業的な観点からは船価指標とEEDI/EEOI複合関数といった,通常の設計においてトレードオフの対象とされるべき実用的評価関数を用いる.既述した実海域航行情報も最大限に有効活用し,学術的観点および実用性観点の双方に関して高いレベルの研究成果を目指す.また本年度は最終年度であるので,3ヵ年研究課題の成果の総括するドキュメンテーションとその発表も,国内および国外の学術会議や学術雑誌において活発に行う予定である.
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