実運航中の地球温暖化ガスの削減を目的に、船舶の効率運航を図るために導入される最適運航システムの効果の評価について実施した。 最終年度となる平成29年度は、船首水面上に設置されるボルスターが実海域推進性能に及ぼす影響を論文としてまとめ公表した。その結果は、ボルスターが単純に波浪中抵抗増加を増大させるものでは無いことを示した。その結果は本船の実運航状態を推定する物理モデルをベースとするシステムに導入された。 最適運航システムの効果の評価を実施し、実際の運航では、voyage priorityを設定して運航支援が行われるが、voyage priorityとして、スケジュール確保、最小燃費が採られるが、例えば到着港の混雑のため、航海途中でスケジュール確保から最小燃費に変更されることもある実態を把握した。燃費最小を実現する高度ウェザールーティングについて、その導入効果を評価する場合、従来システムと高度ウェザールーティングシステムとで燃費比較を行うことになるが、同時出航でシミュレーションを行い、その結果比較だけでなく、燃費推定精度も必要となる。航海途中でvoyage priorityをスケジュール確保から最小燃費に変更した場合、それまでの航海履歴が影響するため、評価は困難となる。voyage priorityをスケジュール確保とする場合、到着遅延リスクを最小とする必要があるが、到着遅れ時間を過小に評価するシステムの場合、遅延リスクは高く、従来使用されている統計モデルをベースとしたシステムではシステム運用者の判断が必要で有り、そのための経験が重要となる。このことから物理モデルベースのシステムの優位性が分かる。 これらをガイダンスとしてまとめた。 また、実海域性能の研究動向調査のため、国際試験水槽会議(ITTC)実運航性能に関する専門家委員会にて海外動向の調査を行った。
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