前年度(平成28年度)と同様に、風洞内に高さと風速方向の厚さを変えたハニカム板を設置し、風速の高度分布を再現した。ただし、高度分布による風速差を実際の海上風よりも強調するために、べき乗測で表現する場合のnについては、n=3程度となっている。さらにその風下側に3翼独立制御型の風車模型を設置した。3翼独立制御型風車模型は風路床下の強制動揺装置に固定され、浮体の波浪中動揺(ピッチング運動)を模擬した。3翼独立制御型風車の風下側においては、風速計を複数設置した状態で後流の計測、あるいは既存の一般的な3翼同時制御型の風車模型を設置して風車性能計測を実施した。その際、風上側風車(3翼独立制御型)では、風速の高度分布と動揺を考慮したブレードピッチ制御を適用し、制御の影響を計測した。 計測結果から、風上側風車のブレードピッチ制御が後流分布に与える影響、風下側風車の主に回転数変動に与える影響を明らかにした。 数値計算においては、揚力線理論に基づく数値計算ソフトウェアを使用し、風上側風車から発生する後流を解析した。特に、非動揺時における後流の数値解析結果を同条件の模型試験結果と平均風速と乱れ強度に着目して比較し、数値計算結果の妥当性を検証した。 以上により、縮尺模型を用いた風洞試験および模型試験を再現した数値計算により、浮体の波浪中動揺を模擬した動揺する風車において、3翼独立ブレードピッチ制御を考慮した後流影響をできる限り定量的に評価することができた。
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