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2015 年度 実績報告書

ヘリウムプラズマ照射によるタングステンの物性変化と高密度プラズマとの相互作用

研究課題

研究課題/領域番号 15H04229
研究機関名古屋大学

研究代表者

梶田 信  名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (00455297)

研究分担者 大野 哲靖  名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60203890)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードプラズマ・核融合 / ヘリウムプラズマ / 金属ナノ構造 / 仕事関数 / アーキング
研究実績の概要

ヘリウムプラズマ照射を行ったナノ構造タングステンの物性を明らかにするとともに,直線型装置NAGDIS-IIにおいて,間歇的な高密度プラズマとの相互作用を実験的に明らかにした。ヘリウム照射を行った金属ナノ構造材料の物性評価として,X線光電子分光法(XPS)を用いて仕事関数を計測した。その結果,ヘリウム照射に伴い,タングステンにおいて約0.5 eV程度上昇することが明らかになった。加えて,ヘリウム照射を行ったタングステンにおいては,仕事関数が表面酸化が起こっても変化(減少)しにくいことが明らかになった。加えて,ピコ秒サーモリフレクタンス法を用いてナノ構造Wの熱伝導率の計測を行った。具体的には,ナノ構造が形成されていない裏面から,加熱用と計測用の2種類のパルスレーザーを照射し,温度変化のロックイン位相信号を得て,その結果とモデル計算とを比較し,ナノ構造層の熱伝導率を評価した。その結果,空孔率を94%と仮定すると,熱伝導率は約2%程度になっており,ナノ構造化により熱伝導率が2桁程度減少していることが明らかになった。NAGDIS-IIにおいて,試料を400-500 V負にバイアスし,定常プラズマ照射を実施しアーキングの発生頻度,発生条件を明らかにした。その結果,アーク持続時間は10 ms以下であり,バイアス電圧が小さくなるにつれ,持続時間は短くなることが分かった。また,アーク電流の揺動のFFT解析を行ったところ,揺動のスペクトルにフラクタル的な性質があることが見出された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り進んでいる。ナノ構造の物性評価に関しては,仕事関数,熱伝導率の計測が進み,当初の予定以上に進展がみられている。当初予定をしていた高速分光計測に関しては,準備がほぼ終わりこれから実験に本格的に向かう段階まで来ている。

今後の研究の推進方策

ナノ構造金属層の物性評価に関しては,熱伝導計測に新たに,表面加熱/裏面計測を適用し,これまでに比べ精度を上げるとともに,電界電子放出特性の詳細な評価を行う。また,高速分光計測を導入し,本格的な実験を行う。加えて,アーキングに関しては,ロシア人の協力研究者との連携を強め,実験を行うとともに理論的な理解を推進していく。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Growth of multifractal tungsten nanostructure by He bubble induced directional swelling2015

    • 著者名/発表者名
      S Kajita, N Yoshida, N Ohno, Y Tsuji
    • 雑誌名

      New Journal of Physics

      巻: 17 ページ: 043038

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1088/1367-2630/17/4/043038

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Initiation of arcing on tungsten surface exposed to steady state He plasmas2015

    • 著者名/発表者名
      Shin Kajita, Yasuyuki Noiri, Noriyasu Ohno
    • 雑誌名

      Physica Scripta

      巻: 90 ページ: 095604

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1088/0031-8949/90/9/095604

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] A study of core Thomson scattering measurements in ITER using a multi-laser approach2015

    • 著者名/発表者名
      GS Kurskiev, PA Sdvizhenskii, M Bassan, P Andrew, AN Bazhenov, IM Bukreev, PV Chernakov, MM Kochergin, AB Kukushkin, AS Kukushkin, EE Mukhin, AG Razdobarin, DS Samsonov, VV Semenov, S Yu Tolstyakov, S Kajita, SV Masyukevich
    • 雑誌名

      Nuclear Fusion

      巻: 55 ページ: 053024

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1088/0029-5515/55/5/053024

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Nanostructure growth by helium plasma irradiation to tungsten in sputtering regime2015

    • 著者名/発表者名
      Y Noiri, S Kajita, N Ohno
    • 雑誌名

      Journal of Nuclear Materials

      巻: 463 ページ: 285-288

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1016/j.jnucmat.2015.01.036

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Increase in the work function of W/WO3 by helium plasma irradiation2015

    • 著者名/発表者名
      S Kajita, A Ohta, T Ishida, K Makihara, T Yoshida, N Ohno
    • 雑誌名

      Jpn. J. Appl. Phys.

      巻: 54 ページ: 126201

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.7567/JJAP.54.126201

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] ピコ秒パルス光加熱サーモリフレクタンス法によるナノ構造タングステンの熱拡散率計測2015

    • 著者名/発表者名
      梶田信、八木貴志、小林謙一、時谷政行、大野哲靖
    • 学会等名
      プラズマ核融合学会第32回年会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2015-11-24 – 2015-11-27
  • [学会発表] Surface morphology changes and N doping on metals by plasma irradiation process2015

    • 著者名/発表者名
      T. Ishida, S. Kajita
    • 学会等名
      AEPSE2015
    • 発表場所
      Jeju, Korea
    • 年月日
      2015-09-20 – 2015-09-24
    • 国際学会
  • [図書] 環境調和型社会のための エネルギー科学2016

    • 著者名/発表者名
      森竜雄,長谷川豊,板谷義紀,長谷川達也,梶田信,成瀬一郎,森田成昭,伊藤孝至,早川直樹,小島寛樹,花井正広
    • 総ページ数
      238
    • 出版者
      コロナ社

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公開日: 2017-01-06  

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