研究課題
タングステンへのヘリウム照射時に金属粒子(イオン及び中性粒子)の堆積を同時に実施し,形成された巨大ナノ構造の詳細な観察を行った。巨大な繊維状ナノ構造の初期成長に着目すると,照射時間とともに指数関数的に増加し,厚さが時間の平方根に比例して増加する通常のタングステンナノ構造(ファズ)成長とは全く異なることが分かった。構造が巨大化し,シースの厚み程度に至ると,その成長速度は高さ方向にはおよそ飽和し,同等の成長速度で材料の面方向へと方向を変えて成長していくことが示された。面方向での巨大ナノ構造の成長は,ミリメートルの規模で常に同じ方向性を持っており,プラズマ流の方向と一致していることが明らかになった。プラズマの流れによりナノ構造がイオンドラッグ力により方向性が決められていることが示唆された。走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)分析により、巨大ナノ構造の観察を行うと,ヘリウムバブルを伴う膜状ナノ構造が多く観察され,常に数十nm程度の厚みを持っている様子が示された。詳細な観察より繊維状になった構造にタングステンが堆積し膜が形成される過程が理解された。さらに,Heの入射イオンエネルギーがファズ成長のしきい値エネルギー(20-30 eV)よりも低い場合でも、非常に多孔質の繊維状ナノ構造またはカリフラワー様構造が堆積層を構成することが明らかにされた。核融合炉においては,タングステンが再堆積する状況があるが,その際にはヘリウム照射効果が著しく変化する可能性があることが明らかになった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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