研究課題
核融合炉初期装荷用及び炉工学試験用トリチウムの調達法を明確にしておくことは重要である。我々は「高温ガス炉を用いたトリチウム製造法」を提案し、その有効性を示してきた。炉心にリチウム化合物を装荷する方法として、ロッド状の装荷体を提案している。ロッドは、LiAlO2を円柱層状に加工し、その内側及び外側にZr被覆層を設け、製造したトリチウムのゲッターとする。平成29年度は下記3項目について検討を行った。(1)Li装荷用ロッドの模擬試験体を用いた実験:まずLiロッド模擬試験体を構成するZr管及びAl2O3管それぞれに対し軽水素透過速度を定量した。その後、トリチウム実験システムを構築し、模擬試験体にトリチウムガスを供給し、700℃での封じ込め性能を調べた。10数時間の連続加熱においても、Al2O3管外側ではトリチウムが検出されず、模擬試験体が優れたトリチウム封じ込め性能を有することを示した。(2)LiAlO2とジルコニウム(Zr)との共存性:ZrとLiAlO2との共存下におけるZrの水素吸蔵特性を調査した。温度範囲600℃~900℃でZrとLiAlO2とを共存させた状態で、Zrの水素吸蔵速度を調べたところ、Zrはほとんど水素を吸蔵しないことがわかった。Zr表面にはジルコニウム酸化物(ZrO2)、表面からやや深い部分には酸素溶解領域が形成されたことがわかった。予め電解法によってZr表面にニッケルをメッキすると、LiAlO2との共存下にあってもZrの水素吸蔵が確認された。(3)Li照射試験体の設計:高温工学試験炉(HTTR)におけるLi装荷用ロッドの照射試験を想定し、試験体形状及び試験法を検討した。HTTRの照射ブロックに3~4の試験用ロッドを装荷し、ロッドからのトリチウム流出量を比較することで、計算値を確認することができる。HTTRでは年間30g程度のトリチウム生産が可能との結果を得た。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Fusion Engineering and Design
巻: online ページ: online
10.1016/j.fusengdes.2018.03.029
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