研究課題/領域番号 |
15H04233
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
宮澤 順一 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50300728)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 真空排気 / 核融合炉 / 超音速 / クライオポンプ / 拡散ポンプ |
研究実績の概要 |
本研究では、核融合炉に必須となる強磁場下での水素とヘリウムの同時大量排気を、連続かつ少ない三重水素貯留量で可能とする革新的な真空排気装置「超音速ジェットポンプ(Supersonic Jet Pump, SJP)」の実験研究を行う。 SJPとは、10 K程度に冷却した心棒に排気する水素で生成した超音速ジェットを吹き付けて心棒表面に水素を凝固させ、これをカッターで常温の排気部に押し出して気化し、排気するという仕組みの装置である。固体水素膜生成面積を拡大するため、超音速ジェット吹き出し口は三段とする予定である。 平成27年度はSJPの一段目及び心棒部分を設計し、これらを製作した。一段目においては、超音速ジェット吹き出し口スリット幅を極薄スペーサの挿入枚数によって調整できるようにし、超音速ジェット生成用ガスを1段目から2段目へと通すための多孔を設けた。心棒はステンレス製の軸にアルミの肉厚スペーサを複数刺し、その周囲をステンレス製のカバーで覆う構造とした。このカバーの表面に水素を凝固させ、カッターで削り取ることとなる。このような構造とすることで軽量化を図ると同時に、カバー表面の強度を確保した。 本研究に関連して、平成27年度には国内学会1件、国際学会1件、及びIAEA技術会合1件の発表を行った。また、SJPに関連する特許出願も行った(特許出願番号:2015-112781)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低温の冷凍機コールドヘッドに接続する1段目と、水素を凝固させる心棒部分は、SJPにおける最も重要なパーツである。これらの設計と製作を終えたことで、本研究のスタートアップ部分は完了したと言える。特許を出願し、国内及び国際学会での発表も行った。当初計画では平成27年度中に予備実験を開始する予定であったが、最終的に決定したSJPの構造上、これを既設の真空容器に納めることができなかったため、新たに真空容器を準備する必要が生じ、実験開始には至らなかった。但し、平成28年度前期にこの真空容器とガス導入部を整備して実験を開始すれば、この遅れを回復することは十分可能である。
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今後の研究の推進方策 |
SJPの1段目及び心棒部分の製作が完了したため、今後はこれを真空容器内に設置し、ガスを導入して超音速ジェットを生成して心棒表面に凝固させる試験を行う。 そのために真空容器とガス導入部を製作する。この真空容器は、別途ターボ分子ポンプによる超高真空排気が可能な、既設の大型真空チャンバーに接続して用いる。ガス導入にはマスフローコントローラなどを用いて、流量が制御可能なようにする。 実験では、まず窒素あるいはアルゴンといった比較的凝固しやすいガスを用いて、ガス流量や超音速ジェット生成スリット幅と心棒表面への凝固膜生成速度との関係などを明らかにする。その後、ネオン及び水素を用いて同様の実験を行う。 実験の結果を反映して、2段目及び3段目の設計及び製作を行う。
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