研究課題
本研究では、核融合炉に必須となる強磁場下での水素とヘリウムの同時大量排気を、連続かつ少ない三重水素貯留量で可能とする革新的な真空排気装置「超音速ジェットポンプ(Supersonic Jet Pump, SJP)」の実験研究を行った。SJPとは、10 K程度に冷却した低温心棒の表面に、排気する水素で生成した超音速ジェットをブローユニットから吹き付けて凝固させ、これをカッターで削ぎ落として気化し、排気するという仕組みの装置である。気化したガスの一部はブローユニットを経由して再度低温芯棒に吹き付けられる。固体水素膜生成面積を拡大するため、超音速ジェット吹き出し口は四段とした。低温芯棒表面に沿って回転するカッターを設け、磁気カップリングデバイスにより真空外から回転を導入することで真空取り合い部を簡略化し、無限回の回転を可能とした。大型真空容器にSJP、ターボ分子ポンプ、真空計、及び四重極型質量分析計等を設置し、SJPを用いた真空排気実験を実施した。本実験では、マスフローコントローラーにより5 - 7 sccmの空気をSJPの超音速ガスブローユニット内部に導入し、真空容器内の真空度及び主要ガス成分の時間変化を計測した。実験の結果、今回製作したSJPの実効排気速度は、0.3 - 0.5 立方メートル毎秒であり、大型ターボ分子ポンプと同等であること、この排気速度は 5 - 7 sccmで10万秒以上の空気の排気を行なった後も保持されること、カッターの動作は、特に水素成分に大きな影響を及ぼすこと、などが明らかとなった。これにより、SJPの基礎原理実証を完了した。今後、本研究を展開する上で取り組むべき課題として、水素及びヘリウムの大量排気実験、超音速ジェットの最適化、低温芯棒表面における凝縮現象の解明、及びカッターによる固体ガスの剥離機構の解明などが挙げられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plasma and Fusion Research
巻: 12 ページ: 1405017-1 - 20
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Fusion Engineering and Design
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