研究課題/領域番号 |
15H04234
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
田村 直樹 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (80390631)
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研究分担者 |
鈴木 千尋 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30321615)
庄司 主 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00280602)
村上 泉 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (30290919)
向井 清史 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (90632266)
舟場 久芳 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (40300727)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | プラズマ / 核融合 / ヘリカル / 不純物輸送 / 不純物トレーサー / トレーサー内蔵固体ペレット / TESPEL |
研究実績の概要 |
平成29年2月から実施されている核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)でのプラズマ実験において、本研究に関する実験を実施するべく、二重殻TESPEL及び入射角可変機構付きTESPEL入射装置などの準備を進めた。しかし、入射角可変機構付きTESPEL入射装置に対する中性子及びガンマ線対策において、特に制御機器類の移設復旧作業において想定以上の時間が掛かり、平成28年度内には実験を実施することができなかった。現在、できるだけ早期に実験が開始できるよう、対策を急ピッチで進めているところである。 TESPELに関して、不純物トレーサー注入位置の柔軟性を更に高める試みとして、三重殻化を試みている。ただし、残念ながら、まだ実験に使用可能な段階には至っていない。 不純物輸送係数の空間構造モデルの詳細化に関して、一次元不純物輸送コードによる計算の高度化、具体的には、反復計算によって最適化されたモデルが求められるようにする作業を進めた。 不純物輸送特性の特異な空間構造を利用した高放射損失放電の高度化に関して、これまでに高放射損失放電のために用いられた元素の原子番号に近く、より最適な元素の選定を進めた。 国内外で開催されたワークショップや学会に参加して、本研究の進捗状況について報告した。特に、本研究で整備した機器群を統合された計測システムとして、米国で開催された高温プラズマ計測に関する国際会議において報告し、それについてまとめた論文がReview of Scientific Instruments誌に掲載された。また、既存の実験データを用いた不純物輸送特性の空間構造のモデル化作業で得られた成果の一部をアメリカ物理学会プラズマ物理分科会における招待講演で報告し、それについてまとめた論文をPhysics of Plasmas誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年2月から実施されている核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)でのプラズマ実験において、実験が実施できなかった点を踏まえると、研究は遅れていると言わざるを得ない。ただし、TESPELの更なる改良や不純物輸送係数の空間構造モデルの詳細化を目指した一次元不純物輸送コードによる計算の高度化などを進めた他、不純物輸送特性の特異な空間構造を利用した高放射損失放電の高度化の検討を始めるなど、研究計画全体としては一定の進展が見られた。また、平成27年度に開催されたヘリカル系プラズマに関する国際ワークショップにおいて口頭講演した内容をまとめた論文がPlasma Physics and Controlled Fusion誌に掲載された他、本研究で整備した機器群を高温プラズマ計測に関する国際会議にて報告し、それについてまとめた論文がReview of Scientific Instruments誌に掲載されるなど、本研究によるアウトカムも得られている。以上のことから、本研究はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度末から年度を跨いで継続して実施されている核融合科学研究所の大型ヘリカル装置でのプラズマ実験において、不純物輸送特性の空間構造モデルの精度向上及び高放射損失運転の高度化を目指した実験を、分担者らと協力して、できるだけ早期に実施できるようにする。 これまで、そして今後新しく得られるであろう実験データに基づく不純物輸送係数の空間構造モデルの詳細化に関して、できるだけ早期に反復計算によって最適化されたモデルが求められるように、分担者の舟場と協力して進めながら行う。また、比較する不純物トレーサーイオンの価数を増やすことで、より精度の高いモデルの導出を目指す。この時、これまでと同様に既存のモデルからどの程度精度が向上したか定量的に評価し、今後必要な改善の指針を得る。 引き続き、国内外で開催されるワークショップや学会に参加して、本研究の進捗状況について報告し、外的評価を受ける。また、不純物輸送特性の空間構造に関する最新の解析結果及び高放射損失運転の高度化の初期結果などを国際会議で発表し、コミュニティにおいて認知度の高い学術論文誌に投稿する予定である。
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