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2015 年度 実績報告書

BNCTのためのホウ素濃度比(T/N:腫瘍・正常細胞比)リアルタイム測定手法開発

研究課題

研究課題/領域番号 15H04242
研究機関大阪大学

研究代表者

村田 勲  大阪大学, 工学研究科, 教授 (30273600)

研究分担者 宮丸 広幸  大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80243187)
吉橋 幸子  福井工業大学, 工学研究科, 准教授 (20403157)
加藤 逸郎  大阪大学, 歯学研究科, 助教 (60314390)
佐藤 文信  大阪大学, 工学研究科, 助教 (40332746)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードBNCT / T/N比 / GAGG / CdTe / MCNP5 / 478keV
研究実績の概要

新しいがん治療法として、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の研究が進められている。今後、加速器による治療が行われるようになれば、広く普及する可能性が高い。この問題点として、治療効果(指標)がリアルタイムで分からないことがある。現在は、高度な模擬計算による推定と治療中における放射化箔等の測定により、治療効果(=照射時間)を推定している。しかし、それでは、不十分であることががん臨床医により指摘されている。本研究では、このうち、これまで照射中には知ることができなかった、中性子束強度、ホウ素濃度、そして最も重要なT/N比(腫瘍細胞と正常細胞の蓄積ホウ素濃度の比)をリアルタイムで計測できる測定システムの開発を目指す。
著者等の過去の研究により,478keVの即発γ線を測定する際,人体そのものから発生する2.2MeVのγ線のコンプトン連続部がバックグラウンドとなることが分かってきた。本研究では,逆にこの2.2MeVのγ線から得られる情報を利用しT/N比を決定する。
本研究ではまず,検出素子を選定した。候補とする検出素子は,GAGG、CsI(Tl)、CdTe等のシンチレータや半導体素子である。検出素子は,次の条件を満たさなければならない。(1)478keVと511keVのγ線の分離測定ができる検出効率とエネルギー分解能を持つこと,(2)2.2MeVのγ線を高い検出効率で検出できること,そして,(3)十分な空間分解能を有すること,である。本研究ではまず,検出効率について,(1)の条件を達成しているか否かを確認するため,実際に各検出素子を用いて波高分布を計測し,結果をMCNP5による計算値と比較検討した。その結果,GAGG及びCdTe検出器が条件を満たすと分かった。今後は,今年度テストできなかった検出素子のテストを行い、平成28年度の計画に進む予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成27年度は、検出素子の理論的検討を実施し、実現可能性とその成立条件の明確化に取り組む予定であった。が、効率については、理論計算で評価はできるが、エネルギー分解能については、文献値が不十分な素子結晶もあり、やはり、実際に計測しなければ分からないと判断した。そこで、当初の予定を変更し、候補の結晶を購入し、効率とエネルギー分解能を計測することとした。得られた測定値は、理論値やこれまでの計測結果等と比較検討した。この結果、GAGGとCdTeについては、十分候補になり得ることが判明した。ただし、全ての結晶について実施できたわけではないことから、今年度も続ける予定である。
以上を勘案し、進捗状況は、おおむね順調であると判断した。

今後の研究の推進方策

昨年度に続き、残りの候補素子結晶を準備し、実験的、理論的検討を加える。その後は、当初の予定通り、実際に本申請で提案する手法によりT/N比が決定できるかをGe検出器を用いて確認する。
放射線発生施設における511keVの消滅ガンマ線の強度は、照射場依存性が高いため実験室規模での実証が難しい。また、同時に2.2MeVを実際と同じ条件で発生させることも困難である。そこで、BNCT治療現場を模擬する中性子場を大阪大学に製作し、そこで測定を実施する。計測は、最もガンマ線測定性能が高いGe検出器を用いる。予想されるγ線スペクトルが、実際に計測されるかを確認し、基本原理の検証とする。
具体的には以下の手順で行う。ピンホールコリメータにより、腫瘍位置のみを見るよう検出器を設置し、実際に、478keV、511keV及び2.2MeVのγ線がどの程度の絶対強度及び強度比で発生するかを計測する。Ge検出器は、γ線に対する感度がとても高いので、厳重に遮へいするが、計測が難しい場合は、別室から壁のコリメータホールを介して計測することも検討する。その後、場所を少しずらして、正常組織部分を見るように配置し、同様の計測を実施する。両者のホウ素濃度比からT/N比を評価し、実際の数値と一致することを確認する。
以上により、当該提案手法の基本原理を確認することができる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] BNCTのためのT/N比リアルタイム計測装置用検出素子の検討2016

    • 著者名/発表者名
      大屋遼介、皿上順英、真鍋正伸、佐藤文信、村田勲
    • 学会等名
      応用物理学会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      2016-03-19 – 2016-03-20

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公開日: 2017-01-06  

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