研究課題
カラムは、大脳皮質において似た反応特性をもつ神経細胞が物理的に集合してできる構造であり、情報処理の単位である。その形成の過程と機構を理解することは神経科学の重要課題である。マウス大脳皮質体性感覚野(バレル野)第4層でヒゲ感覚情報を担うカラムであるバレルは、新生仔期にヒゲ由来の入力(=神経活動)依存的に形成される。しかしながら、バレルの機能的成熟の過程およびその原動力となる神経活動の実体の多くは未解明である。本研究では、研究代表者グループの先導的研究を発展させ、独自技術の開発・改良を並行しながら、二光子顕微鏡を用いた神経活動解析(カルシウムイメージング)を行い、バレルの機能的成熟と神経活動の関係を明らかにすることを目的として行ってきた。BACでの遺伝子改変技術を用いてコンストラクトを作製し、それをマウス受精卵に微量注入することにより、視床皮質軸索に適切な蛍光タンパク質を発現するトランスジェニックマウスを作製した。その明るさと特異性に関しては脳サンプルを観察することにより明らかにし、適切な系統を選別した。第4層神経細胞は目的に応じて密度をかえてGCaMP標識した。低密度での標識には研究代表者グループが最近開発に成功したスーパーノバ法を用いた。上述のトランスジェニックマウスに子宮内電気穿孔法でGCaMP発現ベクターを導入し、そのマウスを用いてバレル野第4層における自発活動パターンのイメージングを始めた。
2: おおむね順調に進展している
研究の技術的基盤を整備することができた。
技術面でのさらなる改善を図るとともに、その技術基盤の上に研究を推進する。
すべて 2017 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件)
J Neurosci.
巻: 35 ページ: 13728-13744
10.1523/JNEUROSCI.0419-15.2015.
化学と生物
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