• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実績報告書

小脳神経細胞の個性獲得および分化の制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 15H04268
研究機関国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

星野 幹雄  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 病態生化学研究部, 部長 (70301273)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード神経科学 / 発生・分化 / 解剖学 / 脳・神経
研究実績の概要

本研究の目的は、小脳をモデル系として、様々な種類の神経細胞がどのようにして生み出されるのか、その分子機構を明らかにすることを目的としている。2016年度は、小脳顆粒細胞について集中的に研究したので、それについて述べる。
我々は、白血病に関連する転写因子であるMeis1が小脳顆粒細胞の各発達段階で発現し続けることを見出した。そこで、Atoh1-CreおよびMeis1-floxマウス系統を交配し、顆粒細胞リニエージでのMeis1コンディショナルノックアウトマウスを作成したところ、(1)小脳の縮小、(2)小脳小葉構造の乱れ、を観察した。また、電気穿孔法を用いてCre発現ベクターをMeis1-floxマウスへ導入し、少数の顆粒細胞のみでこの遺伝子をノックアウトしたところ、移動神経細胞や平行繊維の形態異常が認められた。以上の結果から、Meis1が顆粒細胞の細胞系譜で発現し、顆粒細胞の正常な移動や分化を制御することによって、小脳形成に重要な役割を果たしていることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今まで、小脳の抑制性神経細胞およびグリア細胞の発生については、かなり明らかにできたので、2016年度は興奮性神経細胞である顆粒細胞の発生を明らかにしようとしてきた。我々は、顆粒細胞リニエージの細胞で強く発現する転写因子のスクリーニングから、白血病に関与することが知られていたMeis1を見つけた。この遺伝子の顆粒細胞特異的コンディショナルノックアウトマウスを作成することによって、Meis1が顆粒細胞の発生の様々なステージで他段階に渡って機能し、正常な顆粒細胞の分化と小脳形成に関与していることを見出すことができた。現在この成果は投稿中であり、最終年度(平成29年度)には受理されると期待している。この成果によって、小脳の抑制性神経細胞、興奮性神経細胞、そしてグリア細胞の発生について、転写因子という観点から解き明かしたことになるため、本研究計画は概ね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

Meis1の顆粒細胞特異的コンディショナルノックアウトマウスの表現型からは、Meis1が顆粒細胞前駆細胞の増殖と分化に関わっていることが示唆されているが、その分子機構は未だに明らかになっていない。我々は今までに、コンディショナルノックアウトマウスを用いたcDNAマイクロアレイ解析によって小脳顆粒細胞における転写因子Meis1のターゲット遺伝子を複数同定しており、それらの中に顆粒細胞の増殖と分化を支配する遺伝子が含まれているのではないかと考えている。そのため、そのターゲット候補遺伝子について、生後発達途上の小脳顆細胞前駆細胞に対して、電気穿孔法を使って強制発現ベクター、ノックダウンベクターを遺伝子導入し、その表現型を調べることによって、その遺伝子の働きを明らかにしていく。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Pathologic Active mTOR Mutation in Brain Malformation with Intractable Epilepsy Leads to Cell-Autonomous Migration Delay2017

    • 著者名/発表者名
      Hanai S, Sukigara S, Dai H, Owa T, Horike SI, Otsuki T, Saito T, Nakagawa E, Ikegaya N, Kaido T, Sato N, Takahashi A, Sugai K, Saito Y, Sasaki M, Hoshino M, Goto YI, Koizumi S, Itoh M
    • 雑誌名

      The American Journal of Pathology

      巻: 187 ページ: 1177-1185

    • DOI

      10.1016/j.ajpath.2017.01.015

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Specification of Cerebellar Neurons2016

    • 著者名/発表者名
      Hoshino M
    • 雑誌名

      Essentials of Cerebellum and Cerebellar Disorders

      巻: 1 ページ: 143-147

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Precerebellar Nuclei2016

    • 著者名/発表者名
      Yamada M, Hoshino M
    • 雑誌名

      Essentials of Cerebellum and Cerebellar Disorders

      巻: 1 ページ: 63-67

    • 査読あり
  • [雑誌論文] AUTS2(Autism Susceptibility Candidate 2)2016

    • 著者名/発表者名
      星野幹雄
    • 雑誌名

      分子精神医学

      巻: 16 ページ: 53-55

  • [学会発表] 小脳神経細胞の発生プログラム2017

    • 著者名/発表者名
      星野幹雄
    • 学会等名
      2016年度 第7回小脳研究会 学術集会・総会
    • 発表場所
      アルカディア市ヶ谷
    • 年月日
      2017-01-20
    • 招待講演
  • [学会発表] Role of Meis1 in the cerebellar development2016

    • 著者名/発表者名
      Owa T, Taya S, Miyashita S, Nishioka T, Kaibuchi K, Hoshino M
    • 学会等名
      Neuroscience2016
    • 発表場所
      San Diego Convention Center
    • 年月日
      2016-11-14
    • 国際学会
  • [学会発表] 精神疾患関連遺伝子AUTS2の生理機能と病理2016

    • 著者名/発表者名
      星野幹雄
    • 学会等名
      第39回日本神経科学大会シンポジウム
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-07-21
  • [学会発表] 脳神経系の発生と精神疾患そして脳進化-Autism Susceptibility Candidate2 遺伝子の研究を通して-2016

    • 著者名/発表者名
      星野幹雄
    • 学会等名
      タイムシグナルと制御シンポジウム
    • 発表場所
      筑波大学下田臨海実験センター
    • 年月日
      2016-06-10
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi