研究課題/領域番号 |
15H04270
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
伊東 秀文 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20250061)
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研究分担者 |
紀平 為子 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (30225015)
中山 宜昭 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (50590436)
綾木 孝 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (60749555)
廣西 昌也 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80316116)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / パーキンソン認知症複合 / 紀伊半島 / 神経病理 / 遺伝子解析 / タウタンパク / TDP-43 / タンパク分解系 |
研究実績の概要 |
平成27年度は古座川ALS/PDC症例の神経病理学的検討をおこなった。まず、本学において1960-1970年代に剖検された古座川ALS/PDCのホルマリン固定脳を整理し、病理学的に検索可能な部位がどの程度残されているか、1例1例検討した。その結果、リストアップされていた7例のうち、1例はすべての脳部位が検索され尽くされ、病理組織が残されていないことが判明した。残り6例ではホルマリン固定脳が保存されていることは確認できたが、今回われわれが検索対象とした部位がおおむね残されていたのは1例のみであった。残り5例については、重要部位が剖検時に切り出され、パラフィンブロック化されて新潟大学に保管されていることが判明した。そのため、新潟大学の柿田明美教授と共同研究契約を締結したのち、当該研究代表者が新潟に赴いて標本を検鏡し、今回の研究に必要な部位を確認したのち、薄切切片を作製していただいて和歌山にお送りいただいた。これら6例で免疫組織化学的にTDP-43, タウ、αシヌクレイン、Aβタンパクの局在を検討し、マッピングを行ったところ、いずれの症例においてもタウタンパクが広範に蓄積しており、Aβタンパクの蓄積はみられなかった。TDP-43は主として脊髄の前角細胞とグリア細胞に、αシヌクレインは扁桃体の神経突起にわずかに蓄積がみられた。これらの分布はGuam島ALS/PDCにおける分布ときわめてよく類似していることが判明した。その他のマーカーとして、SOD1、FUS、p62、ubiquitin、C9RANT、cystatin Cについても免疫染色を終了し、現在マッピングを行っている。一方、最近のKii ALS剖検例については、1例を詳細に検討し、タウ、TDP-43、αシヌクレイン、Aβタンパクの分布が1970年代の症例と同様であることを見出し、平成28年6月に弘前で行われる日本神経病理学会で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度に予定した研究計画のうち、1970年代の古座川ALS/PDCの剖検組織の確認と検索部位の収集に予想外の時間を要したが、新潟大学との共同研究締結により、必要な検索を行うことが可能となり、重要なタンパクについてはすべて、蓄積部位のマッピングを行うことができた。また、その他のマーカーについても半数以上の検討が終了している。一方、最近のALS/PDC剖検症例についても、1例について学会報告予定である。以上から、達成率はおおむね80%程度と考えており、ほぼ計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画は現在のところ順調に進展しており、特に変更や課題はない。今後も研究計画に沿って実験を遂行していく予定である。
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