研究課題/領域番号 |
15H04283
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡本 宗裕 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70177096)
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研究分担者 |
宮部 貴子 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (10437288)
明里 宏文 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20294671)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 血小板減少症 / ニホンザル / カニクイザル / SRV-4 / SRV-5 / 発症機序 / 診断法 |
研究実績の概要 |
ニホンザルの血小板減少症は、当初京大霊長研のみで発生している疾病と考えられていたが、自然科学研究機構の繁殖施設でも類似の疾病がみられることが明らかとなった。両機関はNBRPニホンザルの供給機関であり、同疾病はNBRP事業に多大な影響を与えた。原因究明を進めた結果、霊長研で発生していた血小板減少症はサルレトロウイルス4型(SRV-4)と、自然科学研究機構で発生した同症はサルレトロウイルス5型(SRV-5)と不快感液があることが明らかとなった。しかし、それらの発症機序については不明のままである。また、SRVに感染しても発症しない個体も多くみられ、これらの無症候性のキャリアが本症の伝播に関わっている可能性が高い。本研究は可及的速やかに本疾病の流行を終息させるとともに、再発生を防止するため、同症の発症機序と持続感染メカニズムの解明を目的としている。また、京大霊長研にこのウイルスを持ち込んだのは1991年に導入された果肉ザルであることが明らかとなった。カニクイザルは、現在でも年間5000頭以上が輸入されており、これらのサルの確実な診断が野生ニホンザルを守るためには必須と考えられる。SRV感染を確実に検出できる迅速かつ簡便な診断法の開発がもう一つの目的である。 2015年度は、保存サンプルを用いてウイルス学的解析、病理学的解析を実施すると共に、SRV-5のニホンザルへの感染実験を実施した。4頭のニホンザルにSRV-5を投与したところ、ウイルス投与後およそ1ヶ月で2頭のニホンザルの血小板が急激に減少したため、サンプリングのため安楽殺した。残りの2頭については、発症した個体と同程度のウイルス血症が確認されていたが、投与後2ヶ月を経ても発症しなかった。そこで、免疫抑制を投与したが、血中ウイルス量に変化はみられず、発症には至らなかった。病理学的にも、変化は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年8月、SRV-5を培養したところ、当初の予想に反し、高タイターのウイルスの培養に時間がかかり、感染実験の開始が遅れた。12月に高タイターのSRV-5ば十分量得られたため、京都大学ウイルス研究所においてニホンザル4頭にSRV-5を投与した。発症までの時間はSRV-4と同様に1ヶ月程度と考えており、実際4頭中2頭は感染1ヶ月程度で血小板が急激に減少し、発症を再現することができた。一方、残りの2頭は発症個体と同様に血中のウイルス量は増加したが、投与後2ヶ月を経ても発症しなかった。このため、研究方法を見直し月現在で生存中の個体に免疫抑制をかけて発症を誘発したが、投与後2ヶ月を経ても発症しなかったため、安楽殺を実施し、ウイルス学的検査、廟議学的検査を実施した。以上の経緯により、当初計画より4ヶ月の遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
SRV-5の感染実験で得られたサンプルについて、遺伝学的解析、病理学的解析を進める。特に、高レベルのウイルス血症が持続していたにも変わらず発症せず、さらに免疫抑制剤を投与しても症状の変化がみられなかった2個体については、詳細な検討を実施する。過去の発症例のサンプル、発症したサンプルと比較検討することにより、SRV-5による血小板減少症の発症機序を解明する。 現在、SRV-4の抗体検査は市販のKitを使用しているが、抗原が不明であることに加え、結果が安定しないという問題が生じている。そこで、新たな免疫診断法としてペプチドを用いたELISAの系を開発する。
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