癌幹細胞を支持するニッチの解明は癌の理解と根絶に重要である。本課題は独自の手法で探索した癌幹細胞ニッチ擬態ポリマーに結合する鉄運搬分子transferrin (Tf)の同定を手掛かりにその解明を行った。グリオーマの進展における鉄貯蔵腫瘍随伴マクロファージ(TAM)の関与およびTAMの動員と分化への癌幹細胞の寄与を示した。またグリオーマの術中検出に5-ALAから代謝されるPpIXの蛍光が利用されるが癌幹細胞はTf受容体が取り込む鉄を利用して非蛍光性hemeへ変換し検出を免れることを示した。これらの結果は、グリオーマ癌幹細胞は鉄代謝が関わるニッチを自ら構築して利用する生存戦略をとることを示唆する。
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