• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実績報告書

最小単位オミクス総合解析による乳がん組織多様性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15H04294
研究機関金沢大学

研究代表者

後藤 典子  金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (10251448)

研究分担者 島村 徹平  名古屋大学, 医学系研究科, 特任准教授 (00623943)
岡本 康司  国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (80342913)
東條 有伸  東京大学, 医科学研究所, 教授 (00211681)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードがん幹細胞 / 乳がん / RNAシークエンス / シングルセル
研究実績の概要

乳がんの臨床検体を用いて、がん組織の不均一性の本態を解明する事を目的とし、がん組織を1細胞レベルにまで分解して、解析する。臨床検体のスフィア培養系と、patient-derived xenograft(PDX)を組み合わせ、新規バイオインフォマティクスを用いた統合解析を行う。がん組織切片上で、がん幹細胞を頂点とした細胞系譜を明らかにし、分子レベルで可視化する。その過程で、がん幹細胞維持の鍵となる分子を同定し、がん幹細胞マーカーや、がん根治につながる分子標的を見出す。
がん臨床検体由来のがん組織もしくはがん細胞を免疫不全マウスに移植するpatient-derived xenograft(PDX)モデルは、ヒトがん組織を模倣する優れたがんのマウスモデルである。特に乳がんを用いたPDXモデルは技術的に困難で、本邦では研究代表者のグループのほか、ほとんど行われていない。この乳がんPDXより得られた乳がんの初代培養細胞を用いて、がん幹細胞を強く発現するNeuropirin (NP)の発現を指標にしたソーティングにて取り出し、1細胞解析する条件検討を詳細に行った。がん組織をシングルセルにして培養し、同様にNPの発現を指標にしたソーティングの条件検討も詳細に行った。また、フルーダイムのC1システムを用いて1細胞をプレートに播種する条件検討も細胞株を用いて詳細に行った。いずれの条件検討もうまくいき、1細胞解析の準備が整った。同時進行で乳がん臨床検体を入手し、初代培養とPDXの構築を行った。研究計画の倫理申請を行い、1細胞解析を行うためのすべての条件が整った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

トリプルネガティブタイプ乳がん臨床検体のうち、スフィア培養とPDXの両方がそろっている検体を使った。新たながん幹細胞マーカーを探索したところ、Neuropilin1 (NP1)を見出した。
前年度までに、NP1のほうが、以前に見いだしていたIGF1Rに比較して、どの検体においてもがん幹細胞をよりよく濃縮できることを見いだしている。#69番のトリプルネガティブ乳がん細胞のストックより、がん細胞をスフェロイド培養し、1細胞に分離する条件検討を行った。条件検討がうまくいったので、がん細胞を新たにストックより得て、シングルセル解析用にスフェロイド培養した。NP1を高発現する細胞群と、NP1陰性の細胞群をソーティングにより分離、国立がん研究センターに設置してあるフリューダイムC1 Single-Cell Auto Prepシステムを用いて96wellプレートにがん細胞をシングルセルに分離する条件も整った。サンプルは、東京大学新領域創成研究科へ送り、RNAシークエンスを行い、データ解析は名古屋大学と共同で行う予定である。

今後の研究の推進方策

シングルセル解析を進め、乳がん幹細胞が対称分裂をするメカニズムを明らかにするとともに、未だunmet needsであるがん幹細胞の標的治療を実現するべく、新規分子標的を同定し、機能解析を進める。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 12件)

  • [雑誌論文] An autocrine/paracrine circuit of growth differentiation factor (GDF) 15 has a role for maintenance of breast cancer stem-like cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Sasahara A, Tominga K, Nishimura T,Yano M, Kiyokawa E, Noguchi Miki, Noguchi Masakuni, Kanauchi H, Ogawa T, Minato H, Tada K, Seto Y, Tojo A, Gotoh N.
    • 雑誌名

      Oncotarget

      巻: 8 ページ: 24869-24881

    • DOI

      10.18632/oncotarget.15276

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Addiction to the IGF2-ID1-IGF2 circuit for maintenance of the breast cancer stem-like cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Tominaga K, Shimamura T, Kimura N, Murayama T, Matsubara D, Kanauchi H, Niida A, Shimizu S, Nishioka K, Tsuji E, Yano M, Sugano S, Shimono Y, Ishii H, Saya H, Mori M, Akashi K, Tada K, Ogawa T, Tojo A, Miyano S, Gotoh N.
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: 36 ページ: 1276-1286

    • DOI

      10.1038/onc.2016.293

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Oncogenic fusion gene CD74-NRG1 confers cancer stem cell-like properties in lung cancer through a IGF2 autocrine/paracrine circuit.2016

    • 著者名/発表者名
      Murayama T, Nakaoku T, Enari T, Nishimura T, Tominaga K, Nakata A, Tojo A, Sugano S, Kohno T, Gotoh N.
    • 雑誌名

      Cancer Res.

      巻: 76 ページ: 974-983

    • DOI

      10.1158/0008-5472

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Cancer stem-like cells derived from breast cancer or lung cancer.2017

    • 著者名/発表者名
      後藤典子
    • 学会等名
      第33回日本毒性病理学会総会
    • 発表場所
      大阪、ビッグ・アイ(国際障害者支援センター)
    • 年月日
      2017-01-27
    • 招待講演
  • [学会発表] セリン・グリシン代謝経路MTHFD2による肺がん幹細胞の維持2017

    • 著者名/発表者名
      後藤典子
    • 学会等名
      第12回分子標的治療学会 TRワークショップ
    • 発表場所
      東京、都市センターホテル・コスモスホール
    • 年月日
      2017-01-17
    • 招待講演
  • [学会発表] Dependence on the mitochondrial MTHFD2-mediated purine synthetic pathway in lung cancer.2016

    • 著者名/発表者名
      後藤典子
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会シンポジウム
    • 発表場所
      横浜、パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-12-02
    • 招待講演
  • [学会発表] Growth factor signaling in cancer stem-like cells and their niche. The 47th International Symposium of the Princess Takamatsu Cancer Research Fund2016

    • 著者名/発表者名
      Gotoh Noriko.
    • 学会等名
      Current Status and Perspective of Cancer Stem Cell Research
    • 発表場所
      東京、パレスホテル東京
    • 年月日
      2016-11-10
    • 招待講演
  • [学会発表] セリン・グリシン代謝経路MTHFD2による肺がん幹細胞の維持2016

    • 著者名/発表者名
      後藤典子
    • 学会等名
      第10回メタボロームシンポジウム:疾患マルチオミクス
    • 発表場所
      山形、鶴岡メタボロームキャンパス・レクチャーホール
    • 年月日
      2016-10-21
    • 招待講演
  • [学会発表] Oncogenic fusion gene CD74-NRG1 confers cancer stem cell-like properties in lung cancer through a IGF2 autocrine/paracrine circuit.2016

    • 著者名/発表者名
      Gotoh Noriko.
    • 学会等名
      The international academic seminar of tumor basis and clinical translational medicine in Jinan university
    • 発表場所
      中国、広州
    • 年月日
      2016-10-12
    • 招待講演
  • [学会発表] A serine-glycine metabolic enzyme MTHFD2 is a novel molecular target for overcoming resistance in lung cancer.2016

    • 著者名/発表者名
      後藤典子
    • 学会等名
      第75回日本癌学会学術総会シンポジウム:「代謝を標的としたがんの制御」
    • 発表場所
      横浜、パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-10-06
    • 招待講演
  • [学会発表] Novel therapeutic strategies to eradicate tumors by targeting cancer stem-like cells.2016

    • 著者名/発表者名
      後藤典子
    • 学会等名
      第14回日本臨床腫瘍学会学術集会シンポジウム:日本癌学会・日本臨床腫瘍学会合同シンポジウム
    • 発表場所
      神戸、神戸国際展示場、神戸国際会議場
    • 年月日
      2016-07-29
    • 招待講演
  • [学会発表] グリシン-セリン代謝経路の創薬標的MTHFD22016

    • 著者名/発表者名
      後藤典子
    • 学会等名
      第4回がんと代謝研究会セッション9:創薬
    • 発表場所
      鹿児島、かごしま県民交流センター
    • 年月日
      2016-07-08
    • 招待講演
  • [学会発表] がん幹細胞を標的とするがん根治療法戦略2016

    • 著者名/発表者名
      後藤典子
    • 学会等名
      第15回新規素材探索研究会:特別講演
    • 発表場所
      横浜、新横浜フジビューホテル
    • 年月日
      2016-06-03
    • 招待講演
  • [学会発表] 乳がん、肺がんのがん幹細胞様細胞の分子標的.2016

    • 著者名/発表者名
      後藤典子
    • 学会等名
      第20回日本がん分子標的治療学会学術集会ワークショップ:がん幹細胞を標的にした治療
    • 発表場所
      大分、別府国際コンベンションセンター
    • 年月日
      2016-06-01
    • 招待講演
  • [学会発表] Stem cells, progenitor cells and cancer stem cells in breast tissues.2016

    • 著者名/発表者名
      後藤典子
    • 学会等名
      第89回日本内分泌学会総会シンポジウム「内分泌器官の組織幹細胞と腫瘍幹細胞」
    • 発表場所
      京都府、国立京都国際会館
    • 年月日
      2016-04-22
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi