研究実績の概要 |
本研究は「遺伝性腫瘍症候群の原因である生殖細胞突然変異の発生メカニズムの解明」 を目指し,ミューテーターの性質を持つMth1/Ogg1/Mutyh triple KO (TOY-KO) mouseを用いて,(1) このマウス家系に生じた家族性腫瘍(涙腺腫瘍,皮膚腫瘍)の原因遺伝子を決定すること,(2) 新たな家族性腫瘍モデルマウス系統を樹立すること,(3) 生殖細胞突然変異の発生に対する性・老化の影響を評価すること,を目的としている。平成27年度は,計画に基づき,(1),(2)の項目に関して以下の研究を行った。 (1) TOY-KO mouse家系で出現した涙腺腫瘍マウス個体4匹,その親,子,遺伝的背景であるC57Bl/6Jマウス及びノックアウトマウス作成の際に利用したES細胞から高分子DNAを調整し,次世代シークエンサーを用いたエクソーム解析を行った。具体的には,SureSelect Target Enrichment Systemを用いてEXON領域を濃縮,イルミナの次世代シークエンサーを用いて得られたデータをマウスゲノムのリファレンス配列(mm10)と比較することで,塩基置換変異,欠失挿入変異を検索した。現在得られたデータの解析を行っている。引き続き,これらのデータを元に涙腺腫瘍の原因遺伝子の候補を検索する。 (2) 新たにC57Bl/6Jマウスにバッククロスを重ねて得られたMth1-KO(N31), Ogg1-KO(N32), Mutyh-KO(N36)の各マウスを用いてTOY-KO mouseの作成を開始した。引き続き交配を継続し,Mth1(-/-),Ogg1(-/-),Mutyh(-/-) mouseの樹立を目指す。
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