研究実績の概要 |
本研究は「遺伝性腫瘍症候群の原因である生殖細胞突然変異の発生メカニズムの解明」 を目指し,ミューテーターの性質を持つMth1/Ogg1/Mutyh triple KO (TOY-KO) mouse を用いて,(1) このマウス家系に生じた家族性腫瘍(涙腺腫瘍,皮膚腫瘍)の原因遺伝子を決定すること,(2) 新たな家族性腫瘍モデルマウス系統を樹立すること,(3) 生殖細胞突然変異の発生に対する性・老化の影響を評価すること,を目的としている。平成28年度は(1),(2)に関して以下の研究を行った。 (1) このマウス家系に生じた家族性腫瘍(涙腺腫瘍,皮膚腫瘍)に関して,担がん個体とコントロール個体及び細胞,計20サンプルのDNAを材料にエクソーム解析を行った。現在これらのデータを元に複数の解析方法で原因遺伝子の探索を行っている。 (2) Mth1-KO(N31),Ogg1-KO(N32),Mutyh-KO(N36)を用いた交配によって25匹のMth1(+/-),Ogg1(+/-),Mutyh(+/-)(TOY-トリプルヘテロ)マウスを作成、これらを用いてMth1/Ogg1/Mutyhトリプルホモマウス,Mth1/Ogg1ダブルホモマウス,Ogg1/Mutyhダブルホモマウス,Mth1/Mutyhダブルホモマウス,およびMth1シングルホモマウス,Ogg1シングルホモマウスMutyhシングルホモマウス、野生型マウスの8種類のマウスの作成を開始している。 (3) 生殖細胞突然変異の発生に対する性・老化の影響を評価に関しては,2016年にヒトのサンプルを用いた大規模解析(Nature Genetics, vol48, p823-p824, p935-p939)が報告され,我々の仮説がほぼ証明されたため実施を保留した。
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