研究実績の概要 |
本研究は「遺伝性腫瘍症候群の原因である生殖細胞突然変異の発生メカニズムの解明」 を目指し,ミューテーターの性質を持つMth1/Ogg1/Mutyh triple KO (TOY-KO) mouse を用いて,(1) このマウス家系に生じた家族性腫瘍(涙腺腫瘍,皮膚腫瘍)の原因遺伝子を決定すること,(2) 新たな家族性腫瘍モデルマウス系統を樹立すること,(3) 生殖細胞突然変異の発生に対する性・老化の影響を評価すること,を目的としている。 (1) このマウス家系に生じた家族性腫瘍(涙腺腫瘍,皮膚腫瘍)に関して,担がん個体とコントロール個体及び細胞,計20サンプルのDNAを材料にエクソーム解析を行った。涙腺腫瘍の原因遺伝子候補を複数選出した。皮膚腫瘍に関しては家系を絞って原因遺伝子を再検索中である。 (2) Mth1-KO(N31),Ogg1-KO(N32),Mutyh-KO(N36)を用いた交配によって25匹のMth1(+/-),Ogg1(+/-),Mutyh(+/-)(TOY-トリプルヘテロ)マウスを作成、これらを用いてMth1/Ogg1/Mutyhトリプルホモマウス,Mth1/Ogg1ダブルホモマウス,Ogg1/Mutyhダブルホモマウス,Mth1/Mutyhダブルホモマウス,およびMth1シングルホモマウス,Ogg1シングルホモマウス,Mutyhシングルホモマウスの7系統を作成した。これらは全てC57BL/6Jバックグラウンドであり,新規突然変異を除けばほぼ同じゲノムを共有するマウス群である。
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