研究課題
内視鏡的に切除された大腸組織(非がん部大腸粘膜、表面型腫瘍、隆起型腫瘍、進行大腸がん)合計40検体から得たシークエンスデータおよびDNAメチル化アレイデータを元に、新規大腸がん関連遺伝子を抽出した。それらの遺伝子のDNAメチル化を、大腸腺腫(conventional adenoma、sessile serrated adenoma、traditional adenoma)、早期大腸がん検体および進行大腸がん検体、合計1000例を対象にバイサルファイトパイロシークエンスで解析した。その結果、新規大腸がん関連遺伝子としてB3GALNT1、CADPS、CCDC180、DGKG、FAM92A1、FEZ1、FRMD4B、GABRA4、NTSR1、OGFRL1、PRDM16、SMOC1、ZNF345、ZNF582-AS1を同定した。コロニーフォーメーションアッセイ、MTTアッセイ、フローサイトメトリー、wound healingアッセイ、マトリゲル浸潤アッセイ、ヌードマウスでのxenograft形成能解析の結果、DGKG、SMOC1、ZNF581-AS1が大腸がん抑制遺伝子的に機能することを明らかにした。またSMOC1のメチル化および免疫染色は、大腸早期病変であるserrated lesionの鑑別診断に有用なマーカーであることを明らかにした。またNTSR1と大腸表面型腫瘍との相関を明らかにした。NTSR1メチル化はLaterally spreading tumorなど側方進展形式を示す大腸腫瘍に高頻度であり、NTSR1の高メチル化は予後良好と相関した。機能解析の結果、NTSR1は大腸がん細胞の増殖・遊走・浸潤を促進することから、NTSR1がメチル化されることが大腸腫瘍の非浸潤性・側方進展性に関わると推測された。
2: おおむね順調に進展している
予定していた大腸臨床検体におけるゲノム・エピゲノム解析を終了し、新規大腸がん関連遺伝子を複数同定しえた。それらの中から、表面型大腸腫瘍に関連する遺伝子を同定した。またserrated lesionの新規鑑別診断マーカーとなりうる遺伝子を同定した。これらの遺伝子の機能解析を行い、細胞増殖、遊走・浸潤能に関わる事を明らかにした。これらのことより研究はおおむね順調に進展していると言える。
同定した遺伝子について、さらに多数の臨床検体での遺伝子変異、DNAメチル化、遺伝子発現の解析を推進する。臨床病理学的所見、および拡大内視鏡所見との相関関係を明らかにし、大腸前がん病変および早期がんの診断に有用な所見を明らかにするとともに、大腸がんリスク診断や超早期診断マーカーとしての有用性を検証する。また同定した遺伝子のノックアウト細胞を作成し、機能解析モデルの構築を目指す。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件)
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