研究課題
我々は昨年度までの解析から、新規大腸がん関連遺伝子を複数同定した。その中から早期大腸腫瘍および大腸がんにおいて高頻度にメチル化するDGKG、SMOC1に着目し、解析を進めた。DGKGは大腸がん細胞株において高頻度にDNAメチル化により発現抑制され、その発現回復は大腸がん細胞の増殖・遊走・浸潤を抑制した。マイクロアレイ解析の結果、DGKGは大腸がん細胞において細胞周期やDNA複製に関連する遺伝子発現に大きな影響を与えることが分かった。またDGKGは大腸がん細胞においてRac1活性を抑制した。これらのメカニズムを介して、DGKGが大腸がん細胞の増殖や遊走能の制御に関わっていることが示唆された(Mol Carcinog, 2017)。また我々は、SMOC1が大腸鋸歯状腺腫(traditional serrated adenoma)において高頻度にメチル化していることを明らかにした。SMOC1メチル化はKRAS変異およびCIMP-lowと強く相関し、従来のadenoma-carcinomaシークエンスや、sessile serrated adenoma/polypに由来するMSIがんとは異なる発がんパスウェイに関与していると考えられた。さらに我々はSMOC1がSSA/PとTSAを鑑別するマーカーとなりうることを明らかにした(Oncotarget, 2017)。さらにこれまでの分子解析結果を、大腸内視鏡所見・病理所見と統合的に検討した。その結果、Ⅱ型ピットパターンの亜分類(Type II-O, Type II-L)と、大腸早期病変におけるKRAS/BRAF変異、DNAメチル化(CIMP)との相関を明らかにした(Gastrointest Endosc, 2017; Dis Dis Sci, 2018)。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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