慢性炎症によるメチル化関連因子の制御異常を解析した結果、1)ヘリコバクターに感染した胃粘膜ではTET遺伝子群の発現が低下すること、2)一酸化窒素(NO)への曝露は、DNMT酵素活性が増加することを見出した。TET遺伝子群の発現低下には、NF-kB経路の下流で活性化する複数のマイクロRNAが関与することを示した。さらに、TET遺伝子の発現抑制とNO刺激の組み合わせにより、異常DNAメチル化が誘発されることを明らかにした。以上より、生体内での異常DNAメチル化誘発には、NF-kB経路の活性化によるTET遺伝子群の発現抑制、及び、NOによるDNMT活性化の組み合わせが重要であることが示唆された。
|