研究課題
生きたウイルスを利用したがんウイルス療法は、感染した細胞・組織内で増殖伝播しながらそれらを死滅させるウイルス本来の性質をがん治療に利用する方法であり、第一に感染したがん細胞・組織内における増殖伝播を介した腫瘍溶解、第二にそれに伴う抗腫瘍免疫の賦活化など多様な作用機序を有する。これまで、MAPK/ERK経路の異常を指標にして、がん特異的に増殖し破壊するワクシニアウイルスMDRVVの開発に成功した。そこで本研究では、様々な治療遺伝子を搭載・発現する武装化MDRVVによる難治性悪性腫瘍に対する新規がんウイルス療法の確立を目指す。マウス大腸癌CT26細胞を同系BALB/cマウスの両側の皮下に移植した担癌マウスにおいて、生理食塩水、MDRVV、又はインターロイキン12を発現するように組込んだMDRVV-IL12を右側の腫瘍内にのみ投与し、腫瘍の増殖を観察した。その結果、ウイルスを投与した右側の腫瘍増殖抑制効果は、ウイルス間で差がないため、ウイルス増殖による腫瘍破壊に因るものと考えられた。一方、投与しない左側の腫瘍増殖は、MDRVV-IL12によって最も有意に抑制されているため、NK 細胞を活性化する・T リンパ球に作用しTh1 タイプの免疫反応を誘導し腫瘍に対する細胞性免疫を増強するIL-12に因るものと考えられた。さらに、IL-12に加えてCD/UPRT(酵母シトシンデアミナーゼ/ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ融合遺伝子)を発現するMDRVV-IL12/CD/UPRTでは、プロドラッグ5-FCとの併用において、CDにより5-FCが抗がん剤5-FUに変換され、さらにUPRTにより5-FUが5-fluoroUMPへ変換されることで、最も高い抗がん効果を発揮した。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Molecular Therapy Oncolytics
巻: 13 ページ: 印刷中
https://doi.org/10.1016/j.omto.2019.03.003
巻: 6 ページ: 57と68
10.1016/j.omto.2017.07.001
http://www.med.tottori-u.ac.jp/integbio/522/1198.html