研究課題
白血病の治療成績は化学療法の進歩および造血幹細胞移植により改善されたものの、まだ治癒率は50%程度であり副作用も多く、新規治療の開発が必要である。本研究は、急性巨核芽球性白血病の分子機序解明とそれに基づく分子標的治療法の開発を目指す。特に下記の2点を本研究の目的としており、平成27年度においては早期に実施予定であった研究をほぼ終了している。1、マウスモデルと次世代シーケンスを用いた急性巨核芽球性白血病の主要遺伝子変異(ドライバー変異)の同定(1)マウスモデルによる候補遺伝子異常の検索を行い、NOTCH系遺伝子に高頻度に変異があることを同定した。(2)次世代シーケンスによる急性巨核芽球性白血病臨床サンプルでの遺伝子変異の網羅的検索を行い、NOTCH系遺伝子の機能消失変異があることを確認した。2、NOTCHアゴニスト剤を基軸とする急性巨核芽球性白血病に対する新規治療法の開発(1)in vitro 液体細胞培養系による検討をNOTCHアゴニスト剤1剤ついて行い、細胞増殖抑制、細胞死誘導効果を確認した。(2)in vivo xenograftマウスモデル系を用いた検討を細胞株を用いて行った。
2: おおむね順調に進展している
本研究で目的としてあげた下記の2点について平成27年度の進捗状況を次に記す。1、急性巨核芽球性白血病の主要遺伝子変異(ドライバー変異)の検索(1)マウスモデルによる候補遺伝子異常の検索を平成27年度に行いこれを終了した。(2)次世代シーケンスによる急性巨核芽球性白血病臨床サンプルでの遺伝子変異の網羅的検索を平成27年度度に実施しNOTCH系遺伝子の機能消失変異を高頻度に同定した。2、NOTCHアゴニスト剤を基軸とする急性巨核芽球性白血病に対する新規治療法の開発(1)in vitro 細胞培養系による検討について、平成27年度はNOTCHアゴニスト剤1剤の効果について液体細胞培養系において検討し、細胞増殖抑制、細胞死誘導効果を認めた。(2)in vivo xenograftマウスモデル系を用いた検討については、細胞株(3種)を用いた検討を行った。
1、急性巨核芽球性白血病の主要遺伝子変異(ドライバー変異)の検索予定していた(1)マウスモデルと(2)次世代シーケンスを用いた遺伝子変異の検索を昨年度(平成27年度)に終了したので、本年度(平成28年度)は発現マイクロアレイを8種の急性巨核芽球性白血病細胞株を含む50種以上の急性骨髄性白血病株について行い急性巨核芽球性白血病細胞株においてNOTCHシグナル系遺伝子の発現が低下しているかを検討する。(3)主要遺伝子変異(ドライバー変異)と言えるだけの生物学的機能への影響があるかを検討についてはNOTCH系遺伝子のノックダウン・過発現による白血病細胞の増殖や細胞死への影響を検討する。2、NOTCHアゴニスト剤を基軸とする急性巨核芽球性白血病に対する新規治療法の開発(1)in vitro 細胞培養系による検討については、昨年度の実験でその効果を認めたNOTCHアゴニスト剤に加え、本年度、来年度は新たに他のNOTCHアゴニスト剤(抗体など)を検討する。また半固形培地による薬剤感受性の検討も行う(液体培養にくらべ半固形培地は白血病幹細胞分画に対する効果を評価しやすい)。(2)in vivo xenograftマウスモデル系を用いた検討については、昨年度に行った細胞株に加え、本年度、来年度は白血病臨床サンプルでの検討も行う予定である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 10件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 8件、 招待講演 2件)
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