研究課題
ダウン症の21トリソミーを培養細胞レベルで正常化させるトリソミー治療法が注目されている。本申請研究では、新しい概念を取り入れたトリソミー治療法を提案する。すなわち、ダウン症細胞の分裂期チェックポイントを人工的に抑制して染色体不安定性を一過性に誘導し、この中から過剰21番染色体のみ喪失した細胞を選別する手法である。本法は簡易かつ細胞およびゲノムに低侵襲であり、より安全な染色体治療法として21トリソミーのみならず様々な染色体異常症に応用できる可能性がある。本年度は、BUBR1が欠損したPCS症候群の患者由来iPS細胞を用いて染色体数の分布(異数性)を観察した。その結果、BUBR1の発現を相補すると、患者細胞の染色体不安定性は回復するが、核型異常までは正常化されないことが判明した。さらに正常細胞を用いて、ライブセルイメージング手法により21番染色体と18番染色体の検出を試みた。具体的には、21番染色体および18番染色体に特異的なリピートを標的とするCRISPR/Cas9を作成して、GFPと連結してU2OS細胞に導入した。その結果、21番染色体または18番染色体のいずれもリアルタイムで観察された。
2: おおむね順調に進展している
計画のとおり、21番染色体と18番染色体のライブセルイメージングに成功した。
21番または18番染色体を認識するdCas9-GFPを、それぞれ21トリソミーおよび18トリソミーのiPS細胞に導入して、細胞クローンを単離する。この細胞にBUBR1 siRNAを導入して、染色体のコピー数を観察し、染色体数が正常化する瞬間を観察する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
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