研究課題/領域番号 |
15H04324
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
今高 寛晃 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (50201942)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 再構成システム / ウイルス合成 / リポソーム / 人工細胞 / セルフリーシステム / 翻訳 / タンパク質合成 / RNAウイルス |
研究実績の概要 |
EMCVのゲノムRNAを試験管内タンパク質合成系(抽出液型及び再構成型タンパク質合成系)で翻訳すると最初の分断である2A-2B間のプロセッシングが行われ、N末端側のL-1A-1B-1C-1D-2AとC末端側の2B-2C-3A-3B-3C-3Dが産物として検出される。抽出液型ではその後3Cプロテアーゼの働きにより、個々のタンパク質へと切断されるが、再構成システムでは3Cでの分断(特に1A-1B-1C-1D-2A)が起こらないため、その分断にはなんらかの細胞性因子が関わっている可能性があった。本年度の研究において、その因子はシャペロンでも脂質成分でもないことが判明した。また、3CプロテアーゼはL-1A-1B-1C-1D-2Aが合成されているときに存在していることが重要で、合成後に添加しても効果が無いことがわかった。このことから、3Cプロテアーゼはco-translationalに働いていることがわかり、L-1A-1B-1C-1D-2Aが強固な構造(凝集体)をとってしまった後では、切断部位にプロテアーゼが侵入できないことを示唆している。 また、EMCVを人工細胞で合成させるための技術開発として、リポソームに試験管内タンパク質合成系(抽出液型及び再構成型タンパク質合成系)を組み込み、中でタンパク質合成をさせる系を立ち上げた。方法は界面通過法を用いている: 脂質(POPC)とコレステロールをパラフィンと混合し、タンパク質合成系とのエマルジョンを形成させる。その後、外部液(タンパク質合成系のバッファー)の上に重層する。遠心することによりリポソームを集め、それを加温することによりリポソーム内でのタンパク質合成を開始させる。テストとしてGFPの合成を試みたが、抽出液型及び再構成型タンパク質合成系共に、蛍光顕微鏡下で、リポソーム内でのGFP合成が確認され、人工細胞の基盤は構築された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目で人工細胞とウイルス合成の技術基盤は構築できたため研究は順調に進んでいる、と言える。
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今後の研究の推進方策 |
リポソーム内に抽出液型及び再構成型タンパク質合成系を内包し、その中でウイルス合成を行っていく。また、EMCV RNAレプリコンのリポソーム内合成も行う。抽出液型での実験を先行させることにより人工細胞系を整えていく。
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