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2015 年度 実績報告書

力覚/遺伝子発現連関の分子基盤解明

研究課題

研究課題/領域番号 15H04327
研究機関東北大学

研究代表者

小椋 利彦  東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60273851)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード力刺激 / 細胞質/核移行 / MKL2 / Hippo / メカノトランスダクション
研究実績の概要

力刺激のメディエーターとしてMKL2を見いだし、これが力刺激(伸展とずり応力)によって速やかに細胞質から核内に移行することを見いだしている。これまでに実験系では、伸展刺激中、ずり応力印加中の細胞をリアルタイムで観察することができなかった。これは、伸展刺激中の細胞は伸展によって大きく動いて顕微鏡で補足することが出来ない、ずり応力印加装置は、不透明で通常の顕微鏡では蛍光観察が出来ない、という2つの理由による。本年度は、工学系研究者と共同で、伸展刺激中の動く細胞を細くしてリアルタイムで蛍光観察するシステムの開発を開始した。また、ずり応力印加装置を透明化することに成功し、流れ刺激を負荷されている細胞をリアルタイムで蛍光観察することが可能となった。このシステム開発は、これまで世界的にも報告されておらず、画期的なものである。事実、ずり応力を印加した直後からMKL2の核内移行が速やかに進行することがわかり、現在、その詳細を解析中である。このようなリアルタイム観察システムの開発は、本研究で大きな意義をもつと同時に、世界的にも報告されていない新しい現象の発見に結びつく可能性をもつ。
また、Tbx5/MKL2転写複合体が、転写活性化を起すときに必要な未知因子を見いだした。Nppa遺伝子プロモーター上のA/T-rich配列に結合する因子である。本年度は、A/T-rich配列モチーフをタンデムに繰り返すプローブをデザインした。このプローブをビオチン化してstreptavidin-beadsによる精製を行った。まず、本年度は、細胞種の選択、核抽出液の調整条件、DNAプローブの結合/精製条件を詳細に検討した。その結果、SDS-PAGE上で特異的な数個のバンドを検出できるようになった。次年度は、プロテオミクスの手法で、精製タンパクの同定を行い、機能解析を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね、順調に進展している。しかし、ずり応力印加装置を透明化して、細胞をリアルタイムで蛍光観察できるようになったことは、当初、想定していなかった、大きな展開である。このような装置の開発は、世界的にも報告が無く、現時点で、我々の研究室のみが保持する。次年度は、この優位性を最大限に生かし、ずり応力を受けている細胞の変化をリアルタイムで動画化し、世界初のデータを提示して行きたい。また、伸展刺激中の細胞のリアルタイム観察装置開発は、ずり応力装置より複雑で高価なものとなるため、次年度に間に合うか、現時点で確証はないが、この装置も極めて有意義なものとなることから、できるだけ早く完成させ、新しいデータを取得して行きたい。以上、研究開始当初には予想できなかった大きな進展があった。

今後の研究の推進方策

前述した様に、MKL2の力刺激依存的な核移行について、新しいずり応力印加装置の使用でリアルタイムでの蛍光観察が可能となった。その結果、MKL2の核移行が、当初、想定していたより、極めて早く進行することがわかった。これは、MKL2の核移行がF-actin/G-acitnの動態によって調節されているという、従来の説に合致しない。そして、これまでに想定されていない刺激伝達経路は存在していることを示唆している。MKL2/MKL1の核内移行は、日内変動するなど、最近になってアクチン動態では説明の着きにくい現象が報告されており、我々の知見は、極めて大きな意義を持っていると考えている。次年度は、この現象を速やかに解明したい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 図書 (2件)

  • [国際共同研究] The Salk Institute(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      The Salk Institute
  • [図書] メカノバイオロジー(発生のメカノバイオロジー)2015

    • 著者名/発表者名
      小椋利彦
    • 総ページ数
      12
    • 出版者
      化学同人
  • [図書] 多発性骨髄腫の病態と最新治療(サリドマイド、cereblon、多発性骨髄腫)2015

    • 著者名/発表者名
      小椋利彦
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      日本臨床

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公開日: 2017-01-06  

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