研究課題
1)初期翻訳におけるmRNA品質管理とタンパク質翻訳制御解析2)NMDと細胞ストレス応答の分子機構の解析について研究を行った。1)について、平成27年度は、これまでスプライシング依存的にmRNAにリクルートすると考えられていたUPF2が終結因子eRF3と直接結合することでribosomeにリクルートされることを明らかにした。さらに、UPF2-eRF3のクライオ電子顕微鏡法による立体構造解析に成功し、生化学的解析と合わせ、eRF3とEJC因子UPF3が排他的にUPF2に結合することを示した。この結果はNMDにおいて初期段階の異常終止コドン識別複合体の形成様式を明らかとしたものである。この成果に加えDHX34によるSMG1-UPF1複合体安定化に関わる結果をまとめ、2報の論文として発表した。平成27年度に購入した分子間相互作用測定装置(Blitz)を使用したデータが論文化に大きく寄与した。また、SMG1により制御されるUPF1に結合するRNAの次世代シークエンサーによる解析も計画通り進めた。2)については、SMG1のストレス応答制御機構として、新たな基質を3つ同定し、そのうちひとつについて、SMG1によるリン酸化がストレス応答複合体形成に重要な役割を果たすことを見いだした。
1: 当初の計画以上に進展している
平成27年度は、NMDにおいて初期段階の異常終止コドン識別複合体の形成様式を明らかとした結果をまとめ、2報の論文として発表した。また、SMG1により制御されるUPF1に結合するRNAの次世代シークエンサーによる解析も計画通り進めた。さらに、SMG1によるストレス応答制御機構について予想を超える成果を得つつある。これらの実績から、研究計画は当初の計画以上に進展していると判断した。
平成28年度はSMG1により制御されるUPF1に結合するRNAの次世代シークエンサーによる解析を進めると共に、非常に順調に進んでいる、SMG1によるストレス応答制御機構について集中して解析を進める。
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