本研究では、生殖細胞の形成に不可欠なプロセスである減数分裂を制御する分子機構を明らかにすることを目標とし、分裂酵母の減数分裂制御において重要な役割を果たす三つのRNA結合タンパク質Mei2、Mmi1、Spo5の機能解析を進めている。Mei2は、減数分裂開始のスイッチとしての役割と、減数分裂の進行に欠かせない機能を有するタンパク質である。Mmi1は、減数分裂期に発現する転写産物の分解を誘導すると同時に、減数分裂遺伝子の条件的なヘテロクロマチン化に関与することなどが分かっている。Spo5についても、減数分裂の進行において重要な働きをしていることが示されている。しかし、三者の具体的な機能には、多くの謎が残されている。本研究では、これらRNA結合タンパク質の機能の詳細を明らかにし、減数分裂の制御系を分子レベルで理解することを目指す。 これまでの研究から、Mmi1が核内で点状構造体を形成することが、減数分裂転写産物の分解に重要なことが示されていた。転写産物分解の担い手であるRNA分解複合体exosomeもまた、Mmi1点状構造体に局在することが示されていた。30年度の解析から、exosomeとMmi1の相互作用に必要な因子を、Mmi1関連因子の中から特定することができた。Mmi1はN末端側の領域で自己相互作用することで、点状構造体を形成することが示されていた。大腸菌を利用して野生型、自己相互作用領域を欠く変異型などのMmi1タンパク質の精製を行った。精製タンパク質を用いたin vitroでの解析を現在進めている。 Mei2による減数分裂開始機構を明らかにするため、Mei2タンパク質を分裂酵母細胞より精製し、同時に精製されるRNAの特定を進めた。Mei2結合RNAの候補が複数得られ、現在それらの解析を進めている。
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