研究課題
本研究では研究代表者らが発見した、糖代謝酵素群の核内特異的メチル化修飾が同一のアルギニンメチル化酵素であるPRMT1によって制御されるという実験事実を基に、その介在するメカニズムを生化学的手法で明らかにし、核内特異的な糖代謝酵素のメチル化修飾が細胞内のエネルギー代謝を制御する機構を解明することを目的としてきた。最終年度では、プロリン異性化酵素PIN1による解糖系律速酵素PKM2のメチル化制御機構に注力した。まず、CRISPR/Cas9システムを用いて乳がん細胞株MDA-MB-231および脳腫瘍細胞株U87-MGのPIN1ノックアウト細胞を作成した。これらの細胞ではPKM2は高メチル化状態であった。次にin vitroでPKM2-PIN1複合体を作らせた後にin vitro methylationを行なったところ、PKM2はPIN1との相互作用によってメチル化修飾が阻害されることが明らかになった。細胞質ではPKM2もメチル化責任酵素PRMT1も高発現しているが、PKM2のメチル化修飾が核内特異的であるのは、細胞質におけるPKM2-PIN1複合体の存在が細胞質におけるメチル化修飾を防いでいるものと考える。また、本年度はPKM2のメチル化動態による異なる核内相互作用分子の探索・同定も行なった。その結果、RNA結合タンパク質、ヒストンバリアント、他の解糖系酵素とPKM2との相互作用が認められた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communications
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