タンパク質の溶解性は、その免疫原性(又は抗原性)に影響を及ぼす因子であると昔から考えられてきたが、タンパク質の溶解性を生体内で制御することが出来ないため、その実験的な証明はなされていない。本研究では、研究代表者が開発したわずか5残基のペプチド系溶解性制御タグ(SCPタグ)を抗原タンパク質に付加することで、溶解性・会合性を溶媒条件を変えずに制御した。変異体の免疫原性を実験的に調べた結果、30~50量体の会合体を形成する変異体の免疫原性が向上することが明らかとなった。今後は、SCPタグによる免疫原性向上のメカニズムを更に詳細に解析し、本技術のワクチン開発やモノクローナル抗体の生成への応用を試みる。
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