研究課題
前年度までに、サブマイクロメートルオーダーの細孔を持ったAFMの基板を2つの方法で進めてきた。今年度はこれらの手法の高度化と作成した基板を用いた応用研究を行った。1つ目の基板は、FIB(Focused Ion Beam)装置を用いて、ガラス基板の上に細孔を形成するというものである。基板の作成方法とガラス基板の洗浄法を確立し、応用実験を行った。たとえば、アクチン線維を細孔上に置くと、アクチン線維に変形を誘起できることがわかった。アクチン線維のらせんピッチを調べると、凸部と凹部で、らせんピッチが、それぞれ伸びたり、縮んだりすることを見いだすことに成功した。また、アクチン線維の曲げ強度をアクチンの形状をナノレベルで可視化しながら見積もることに成功した。もう一つの基板は、形状のそろったポリスチレンビーズやシリカビーズをガラス基板上に撒き、それを鋳型に熱硬化型樹脂(PDMS:ポリジメチルシロキサン)の上に細穴を得るナノインプリントリソグラフィーの方法である。前年度までに、非常に高価な実験装置や危険な薬品を使用することなく、サブマイクロメートルオーダーの細孔を高密度に大面積に得ることができていたが、PDMSが樹脂のため、形状や硬化条件を工夫しないと、高速AFMの走査速度が下がってしまうことが判明した。今年度は、高速AFMの走査速度を落とさないPDMS基板の作成条件を検討し、現在の高速AFMのZスキャナーと同等の200 kHzの共振周波数を持つPDMS基板を作成することに成功した。また、人工脂質膜を基板上に貼り、そこで起こるタンパク質の集合・解離の様子を可視化することに成功した。また、本課題研究を実施することによって得られた脂質膜に関する知見を応用して、国内外の研究者らと共同研究を行い、論文発表した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
高速AFMの開発とそのバイオ応用研究を推進してきたことが評価され、第14回日本学術振興会賞を受賞することができた。
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