レチナールを発色団とするタンパク質は、総称してレチナールタンパク質(○○ロドプシン)と呼ばれる。生物の三大ドメインである真核生物、古細菌、真正細菌に万を越える遺伝子が分布し、様々な光依存性機能を担っていると考えられている。このような生物学的意義に加え、近年ではこれら多様なロドプシンを利用し、細胞や個体の機能を光で操作する技術(オプトジェネティクス:光遺伝学)が確立し、応用的側面からも注目を集めている。
このような背景のもと本研究では3つの課題を設定した。すなわち、(1)多様なレチナールタンパク質の単離同定を基盤に、様々な手法により根源的に理解し(知る)、(2)その手法に基づいた分子機能の改変・創成を行い(変える)、さらに(3)様々な生命科学研究に利用可能な光操作ツールを開発する(役立てる)ことを目的に研究を行った。本年度の成果概要は以下の通りである。
(1)知る:様々な生物種から、新奇機能を示すレチナールタンパク質を発見した。[責任著者論文:(2018) PCCP + 投稿中],(2)変える:様々な新奇ロドプシンの物理化学的性質の解析・改変と新たな機能を持った分子の創成に成功した。[責任著者論文:(2017) Chem. Phys. Lett. + 投稿中],(3)役立てる:上記成果を基盤に新規光操作ツールの開発に成功した。[責任著者論文:投稿中] *論文化発表済みもしくは投稿中の論文を複数報告することができ、順調に研究が進んだものと考えている。
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