研究課題
細胞分裂期の初期に染色体が紡錘体の赤道面に整列することは、染色体が均等に分配されるために必須である。本研究では、染色体の効率的な整列の機構とその染色体安定性維持への寄与について明らかにすることを目的とする。染色体整列の課程では、染色体上の動原体が紡錘体を形成する微小管の側面に結合する状態(側面結合)を経て末端に結合する状態(末端結合)に移行することが必要である。平成29年度には以下のような成果が得られた。1. 側面結合の分子機構の解明 平成28年度に、側面結合した動原体の中心体方向への移動が、モーター分子であるダイニンがない状態でも見られることがわかった。そこでその原因を調べたところ、別のモーター分子であるCENP-Eが側面結合の状態で動原体を微小管末端に繋ぎ止め、それにより微小管の短縮に伴って動原体の中心体方向への移動が起こることが示唆された(Sci Rep 2018)。2. 染色体整列の機構の解明 平成28年度に、側面結合と末端結合に関与する分子を共に発現抑制すると、染色体が紡錘体から離れてしまう様子が観察された。これをふまえて、側面結合と末端結合に関与する分子を発現抑制した際の染色体整列や染色体分配を比較することにより、側面結合が末端結合と協調して適切な動原体と微小管の結合にはたらいていることが示唆された(Sci Rep 2018)。3. 側面結合から末端結合への変換に関与する分子の同定 染色体分配過程初期の各段階における種々の動原体分子の局在を検討し、各段階で機能する分子の候補を同定した(Sci Rep 2018)。また分裂期キナーゼPlk1の紡錘体チェックポイントに関する機能を明らかにした(Sci Rep 2017)。4. 効率的な染色体整列と染色体安定性の関連の解明 モーター分子の発現異常などにより染色体整列の効率性が損なわれると、染色体不安定性が生じることがわかった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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