研究実績の概要 |
I.線虫α-、β-チューブリンアイソタイプの網羅的な発現・機能解析: 昨年度に引き続き、各チューブリンアイソタイプ遺伝子について、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いて遺伝子破壊株、および、GFP/mCherry標識株を作製した。α-チューブリン、β-チューブリンアイソタイプ破壊株・標識株をそれぞれ5遺伝子、5遺伝子について得たので、得られた遺伝子破壊株について、胚発生・孵化後発生・運動能力に着目して表現型解析を行った。GFP/mCherry標識株を用いて、各チューブリンアイソタイプの発現時期・発現組織・細胞内局在を高分解能スピニングディスク型共焦点顕微鏡によって解析した。その結果、TBB-1, TBB-2, TBA-1, TBA-2は多様な組織で発現していたが、MEC-12、MEC-7、TBA-4は特異的な神経細胞で、また、TBA-7は腸で発現していることが示された。 II. 線虫チューブリンアイソタイプ間の互換性解析による『マルチ-チューブリン仮説』の検証: 初期胚で発現しているTBB-1, TBB-2, TBA-1, TBA-2について、蛍光標識株を用いて、それぞれの分裂期微小管(動原体微小管、星状体微小管、中央紡錘体)への取り込まれ方に相違点がないか否かを高分解能ライブイメージングによって解析した。また、各チューブリンアイソタイプの発現量・比率を変化させた場合に、微小管動態に変化が生じるかを、伸長する微小管プラス末端に結合するGFP::EB1マーカーのライブイメージングによって定量的に解析した。以上の解析により、それぞれのアイソタイプが微小管動態の多様性に寄与していることを明らかにした。
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