オートファジーは細胞内の大規模な分解システムで、飢餓時に誘導され、細胞質やオルガネラの一部を分解し、再利用することでその場を生き延びる糧にする。また、細胞内の品質管理のために、常に低レベルでオートファジーが起こっており、凝集塊やダメージをうけたオルガネラなどを取り除く。近年では多くの疾患との関係も報告され注目を浴びている。本研究では、主にオートファジー誘導時にできるオートファゴソームの形成機構の解明に関わる研究を幾つかのテーマで行ってきた。それぞれの研究成果の概要を示す。 A) オートファゴソームが小胞体・ミトコンドリア接触部位で形成されることを以前報告したが、さらなる解析から、オートファゴソームは小胞体側でできることがCLEMを用いた解析から明らかになった。また、小胞体のなかでも曲率の高いところを好むこと、小胞体形成に必要な因子をノックダウンするとオートファゴソーム形成効率が落ちることも明らかとなった。小胞体との密な関係がみられた。B)小胞体から細胞膜への輸送経路に必要な因子のオートファゴソーム形成への必要性を網羅的にスクリーニングした結果興味深い因子がとれてきた。その因子はオートファゴソーム形成上流因子を小胞体・ミトコンドリア接触部位に局在させるのに必要な可能性がでてきている。もう少しで論文にする予定である。C)小胞体・ミトコンドリア接触部位を生化学的に単離し、MASS解析にかけた。取れてきた数十個がオートファジーに必要か解析をつめ、候補がとれてきている。実際に形成過程のどの部分に関与するのか解析途中である。D)オートファジーに効果のある可能性のある化合物がどの細胞腫に効果をしめすか、どの過程に効いているのかつめている。病気の回復、あるいは悪化するかを観察予定である。
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