研究課題/領域番号 |
15H04372
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
木村 暁 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 教授 (10365447)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 細胞核 / 細胞骨格 / 線虫 / 棘皮動物(ウニ) |
研究実績の概要 |
細胞核はほとんどの細胞で細胞中央に配置する。このことは細胞分裂時に染色体を均等に娘細胞に分けるために重要である。しかしながら核が中央に配置する機構は未だに解明されていない。研究代表者は細胞骨格である微小管が細胞質全体において引っ張られることにより細胞核が細胞中央に移動する「細胞質引きモデル」を支持している。さらに、このモデルを達成する機構として「中心体-小胞綱引きメカニズム」を提唱している。H27年度には、ウニ胚を用いた細胞変形実験などを通して「細胞質引きモデル」を支持する新たな知見を得た。また、「中心体-小胞綱引きメカニズム」を検証するために細胞内の力を測定する方法を確立しつつある。H28年度以降は「中心体-小胞綱引きメカニズム」の検証に重点的に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始前には細胞核が細胞中央に移動するモデルとして「細胞質引きモデル」以外のモデルを支持する研究者もおり、このモデルが妥当であることを示すさらなる証拠が必要であった。フランス・モノー研究所のMincグループリーダーと谷本研究員との共同研究で、細胞の変形実験とウニ胚の観察などを通じて、「細胞質引きモデル」をより強固に支持する証拠を得て、論文発表を行った。 一方、このモデルを達成する機構として「中心体-小胞綱引きメカニズム」の妥当性を検証するために、細胞核が細胞内で移動するのに必要な力の測定にも取り組んだ。H27年度はアメリカ・ウッズホール海洋生物学研究所で開発された遠心顕微鏡で、この力を測定することができる可能性を示す予備的結果を得ることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度以降は「中心体-小胞綱引きメカニズム」の検証に重点的に取り組む。H27年度に引き続き遠心顕微鏡を用いて細胞核が細胞内で移動するのに必要な力の測定に取り組む。これまでに細胞核の移動に必要な力が測定されたことがなく、本研究は「中心体-小胞綱引きメカニズム」の検証にとどまらず、細胞内で働く力を明らかにする先駆的な研究となることが期待される。
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