本研究は、1万種近く存在する現存鳥類全体を対象とした「保存性」に着目していることが特色である。本研究は、鳥類ゲノムにおいて鳥類のみで保存された塩基配列のほとんどが遺伝子そのものをコードした領域以外にあること、それらの配列によってSim1などの遺伝子が鳥類独自の発現様式を獲得したことが、鳥類の保存形態の形成に繋がっているであろうことを示した。これらの成果は、動物進化を駆動するゲノム変化について大きなインパクトを与える成果となった。また、これらの鳥類の保存形態の多くが鳥類の祖先である恐竜にも存在することから、恐竜の進化を発生学的に考察する新しい進化学、恐竜学の基礎を作った研究成果であるともいえる。
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