• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実績報告書

器官サイズ制御機構の解明―線虫における咽頭サイズ制御の遺伝学的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 15H04379
研究機関関西学院大学

研究代表者

西脇 清二  関西学院大学, 理工学部, 教授 (30342827)

研究分担者 久保田 幸彦  東北大学, 生命科学研究科, 助教 (70333325)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード器官サイズ制御 / 咽頭 / 線虫
研究実績の概要

pqn-74遺伝子の解析:Bacillusキチナーゼのキチン結合ドメイン(CBD)をalexa 546でラベルしたプローブで、野生型とpqn-74(tk137)変異体の咽頭を染色した。野生型ではCBD-alexa 546はPQN-74-GFPと共局在が見られた。pqn-74(tk137)変異体においてもCBD-alexa 546は野生型と同様に局在したことから、PQN-74はキチンの局在には機能しないと考えられる。我々はキチン脱アセチル化酵素lgx-1の変異体でも咽頭過伸長の表現型があること、pqn-74; lgx-1二重変異体はpqn-74の咽頭長異常を増強しないことを見出した。

doxa-1遺伝子の解析:線虫の表皮ではDOXA-1はTSP-15 (tetraspanin)とともにBLI-3 (dual oxidase)を活性化し、MLT-7を介して活性酸素によるキューティクルコラーゲンのチロシン架橋に機能することが知られている。そこでこれらの変異体について咽頭長を測定したところ、tsp-15, bli-3変異体では咽頭長が長くなっているが、mlt-7変異体では変化が無いことが分かった。

phal-4変異体の解析:インジェクションレスキュー実験の結果、phal-4変異体の原因遺伝子はgob-1であることが分かった。gob-1はトレハロース-6-リン酸脱リン酸化酵素をコードする。咽頭の過伸長の原因はトレハロースの欠乏かあるいはトレハロース-6-リン酸の蓄積の可能性がある。そこでトレハロース-6-リン酸合成酵素tps-1およびtps-2との3重変異体を作成したところ、咽頭のgob-1変異体の過伸長は抑制された。このことから、トレハロース-6-リン酸の蓄積が咽頭過伸長の原因であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

pqn-74とキチン脱アセチル化酵素lgx-1の遺伝的相互作用を明らかにした。doxa-1遺伝子がtsp-15, bli-3遺伝子とともに咽頭で活性酸素の生成により咽頭長制御を行っている可能性を示した。また、phal-4遺伝子のクローニングに成功し、トレハロース-6-リン酸の蓄積が咽頭の過伸長の原因であると考えられる結果を得た。これらの研究が予定通りに進んでいる。

今後の研究の推進方策

pqn-74遺伝子の機能解析:我々はキチン脱アセチル化酵素lgx-1の変異体でも咽頭伸長の表現型があること、pqn-74; lgx-1二重変異体はpqn-74の咽頭長異常を増強しないことを見出している。そこで、lgx-1変異体において咽頭ルーメンにおけるキチンの蓄積量やパターンに変化がないかを調べる。またlgx-1遺伝子の発現をGFP融合遺伝子などを用いて解析する。
doxa-1遺伝子の機能解析:dual oxidaseであるbli-3およびその共役因子と考えられているtsp-15の変異体ではやはり咽頭長が長くなっていた。bli-3遺伝子の発現をGFP融合遺伝子などを用いて解析する。また、doxa-1変異体でのtsp-15::Venusやbli-3::GFPの発現など、互いの変異体のバックグラウンドで発現パターンに変化があるかを検討する。
gob-1遺伝子の解析:phal-4(tk136)はトレハロース合成酵素であるgob-1遺伝子の弱い変異(スプライシング異常)であることが分かった。Null変異体の表現型を明にするために、CRISPR-Cas9法によるノックウトを試みる。
新規咽頭サイズ変異体の分離と原因遺伝子のマッピング、クローニング:昨年度に引き続き、pqn-74過剰発現株を変異原EMS処理することにより、咽頭長が長くなる新規変異体を分離し、マッピング、クローニングを目指す。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Organ Length Control by an ADAMTS Extracellular Protease in Caenorhabditis elegans2016

    • 著者名/発表者名
      Shibata, Y., Kawakado,Y., Hori,N., Tanaka, K., Inoue, R., Takano, T., Kubota, Y., Nishiwaki,K.
    • 雑誌名

      G3

      巻: 6 ページ: 1449-1457

    • DOI

      10.1534/g3.116.028019

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mg2+ Extrusion from Intestinal Epithelia by CNNM Proteins Is Essential for Gonadogenesis via AMPK-TORC1 Signaling in Caenorhabditis elegans2016

    • 著者名/発表者名
      Ishii, T., Funato, Y., Hashizume, O., Yamazaki, D., Hirata, Y., Nishiwaki, K., Kono, N., Arai, H., Miki, H.
    • 雑誌名

      PLoS Genetics

      巻: 12 ページ: e1006276

    • DOI

      10.1371/journal.pgen.1006276

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 線虫の咽頭サイズを制御するgob-1遺伝子の解析2016

    • 著者名/発表者名
      井上領、松井那美香、井関晶太、柴田幸政、西脇清二
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
  • [学会発表] 線虫C. elegansにおけるROSを介した咽頭サイズ制御機構の解析2016

    • 著者名/発表者名
      足立将大、坂東里美、平本和也、加嶋紀彦、森部弘樹、柴田幸政、西脇清二
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
  • [学会発表] 線虫のADAMTSプロテアーゼによる基底膜IV型コラーゲン制御の解析2016

    • 著者名/発表者名
      中村久子、高野智美、柴田幸政、西脇清二
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
  • [備考] 西脇研究室HP

    • URL

      http://sci-tech.ksc.kwansei.ac.jp/~nishiwaki/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi